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August 26, 2009

自民・民主のマニフェストから見える日本の近未来

堺屋太一

 今回の選挙は、自民党に絶望し、民主党に落胆し、国民は仕方なくよりマシなほうを選ぶしかない、という悪しき選択になります。
 両党のマニフェストに共通するのは、国家のビジョンがないこと。これが最大の特徴でしょう。日本をどんな国にしたいのか、というビジョンがまったくみられない。景気対策とバラマキ福祉を競争しているばかりです。


 例えば、減税論が出てこない。景気対策ではアメリカの3400億ドルをはじめ、多くの国が減税をやっています。日本では、官僚の圧力で、減税という議論は絶対に出てこない。むしろ、個人からお金を取って高速道路の値下げや子育て、農家補助に出すという。個人のお金より官僚のお金を増やす方向に流れている。

(中略)

 アメリカの出生率を先進国で第1位にまで高くしたのは、子育てシステムの市場化、つまり規制緩和です。アメリカでは、高齢者でも女子大生でも、登録すればいつでもベビーシッターになれる。それで、安価に、電話一本でいつでもベビーシッターを頼める便利な社会になっている。
 ところが日本では、逆に統制して、アメリカのように自由にベビーシッターとして安く働くことは、派遣労働としていけない。

(中略)

 最低賃金、最低保障とつく政策は、官僚が統制して最低の人々を増やそうという政策です。同時に選択の自由をなくそうとしているのです。
 自民党と民主党は、今度の選挙でこれを競争しだしたんですね。

(中略)

 自民、民主のマニフェストを実行に移す限り、あっという間にアルゼンチンのように発展途上国に逆戻りする危険性が非常に高い。(中略)日本の自殺者数は、先進国の中でロシアと一、二を争う多さです。今年は3万4,000人を越える勢いです。この人たちが自殺するのは、多重債務など金銭的な問題ばかりではありません。自由と選択のない息の詰まるような社会の中で、いったん失敗したことが、その人の一生の逃げ場をなくすからです。
 この官僚統制下の社会で、自殺をなくすにはどうするか。「自殺防止省」をつくれば、そこに何兆円もの予算をかけて防止することでしょう。そして、また、そこに官僚が増える。
 この官僚依存のサイクルをどう断ち切るか。今回の選挙ではそれが見えないのです。

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