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March 25, 2011

『計画停電・復興資金~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ』

━■~大前研一ニュースの視点~
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┗━┛『計画停電・復興資金
    ~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ』
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東京電力 1都8県を5つに分け計画停電を実施
東北地方 復興資金
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 ▼東電の計画停電は愚の骨頂、問題解決になっていない
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東京電力は、14日から区域の1都8県を5つのグループに分けて 順番に電力供給を停止する計画停電を開始しました。

 しかし対象地域やグループ分けは毎日変更され、停電実施日に実際 のグループと一致していない例も多いなど、混乱が続いています。

 この混乱は東京電力が機能不全に陥っている証拠だと私は思っています。
今回の計画停電について、いくつか指摘したいポイントが あります。

 まず第1に、東京電力は現代の「コンピューター社会」を理解して いないのか?という点です。

 今の社会で電気の消費量が多いのはコンピューターです。特に コンピューターの起動などのタイミングで多くの電力が消費されます。

 この点について全く配慮されていません。私に言わせれば、東京電力 に泣きつかれて、菅首相は計画停電を「了承した」ということですが、 一体何を持って了承しているのか理解に苦しみます。

 第2に計画停電の実施状況に明らかな「差別」「恣意」を感じます。
 千代田区・港区などを避けて群馬県などの弱い立場にある地域に 集中しています。

 こうした姿勢も非常に「東京電力らしい」ところです。真っ先に自社のビルから停電にするくらいの誠意を見せるべきだと私は思います。

 第3に、大切なのは「節電」ではなく「集中排除」だということです。
 どんなタイミングでブラックアウトが起きるのかと言えば、電力消費がピークに達した時です。

蓮舫節電啓発担当相も必死になって「節約・倹約」を訴えていますが、「ピーク時の電力消費量」が低くならなければ意味がありません。

 ですから、消費量が低い真夜中にあえて暖房を止めて寒い思いをし てまで「節電」する必要はないでしょう。もちろん一般的に無駄な 電力を節約するのは良いことですが、今回の趣旨とは違うということです。

 これらの事実を踏まえて、私は次のような方法を提案します。
 まず電力を「15%」削減できる3つの施策を重ねて実行します。

 ・4月からサマータイムを採用し、時間を2時間早める
 ・企業や工場は週5日間を選択制で操業し電力需要を平準化する
 ・夏の甲子園を中止、または春か秋に変更する

 これから春・夏を迎えます。朝6時半から動き出すのではなく、 2時間ずらして朝4時半からに変更するのです。太陽光をエネルギーにするのではなく、別の意味で太陽の力を借りるということです。
 私の試算ではこれだけで4~5%の削減できる可能性があります。

 東京電力管内の曜日別の電力需要量を見ると、土日が少なくなって いて、平日のピーク時は平均よりも約7%需要量が多くなっています。

 そこで、企業や工場は操業する曜日を週5日間から選択することで 平準化を図ります。もちろん多少の不便はあると思いますが、 これで約7%の削減が可能になると思います。

 そして1年間の中で最も電力消費量が多い8月への対策として、 夏の甲子園を中止・延期します。甲子園で使われる電力の削減、 そしてそれを冷房の効いた部屋で観戦する分の電力削減を狙います。

 さらに電力の東西グリッドの完全接続を実現します。日本では静岡県 の富士川と新潟県の糸魚川付近を境にして、東側は50Hz、西側は60Hzの電気が送られています。

 これを完全に接続するためには相応の工事費用がかかるとのこと ですが、今回の混乱を見れば、世論も工事費の負担を受け入れてくれるのではないでしょうか。

 今後、復旧まで3年~5年ほど東京電力では発電量は20%減になると思います。東西の日本でいつでも電力の貸し借りができる体制を今こそ作るべきです。

 リーダーシップさえ持っていれば今の国民感情を考えれば、すぐにこれらを実施に移すことができると私は思います。

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 ▼ 復興資金は、消費税と節電ルールから生み出す
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 復興資金の捻出には大きく2つの方法が考えられます。

 1つは「期間限定・目的限定被災地救済消費税」の導入です。最大で2%の税率アップで約4兆円の復興資金を確保することができる はずです。そのうち、2兆円を「被災地の住民」に、残りの2兆円 を「公共・産業インフラ」に対する復興費用に充てます。

 消費税が上がると消費が冷え込むという見方もあるでしょうが、 そこはリーダーシップを発揮して「大いに使って、飲んで、食べて 東北地方に復興資金を送ろう」という雰囲気を創り出すべきです。

 もう1つは「節電のノルマ化と電気料金のレビュー化」です。まず 料金単価が安く設定されている大口顧客には、逆に「高い」もしく は我々と同程度の「普通」の金額設定に納得してもらうべきでしょう。

 そして国民一人ひとりには「15%の削減ルール」を設定します。
 過去3ヶ月の平均使用量を基準として、以下のように電気の消費量 に応じて料金を定めます。

・85%以下(15%以上の削減):同一料金
・85~94%(10%程度の削減):料金を10%アップ
・94~100%(5%程度の削減):料金を15%アップ
・100%以上(削減できず):料金を20%アップ

 このようなルールを設定すれば、自分の財布に直撃することですか ら真剣に「節電」について考え始めるでしょう。

 蓮舫節電啓発担当相がどれほど声を大にして訴えかけるよりも効果的 だと私は思います。そして料金のアップ分を「復興資金」として 東北地方へ送れば良いでしょう。

 例えばGDPを例に取れば、幸いなことに日本はピーク時から 経済規模は拡大していない状態ですから、新たな原子力発電所を 作る必要はありません。

 今ある原子力発電所を大切にしながら、企業・国民が力を合わせて 電力の削減に努め、5~15%の削減を重ねていけば良いでしょう。

 政府は未だに具体的な方針を示していませんが、リーダーシップを 発揮してすぐにでも着手して欲しいと思います。

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  この大前研一のメッセージは3月20日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
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