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August 24, 2012

コラム:米追加緩和期待でドル安、いつか来た道の教訓=佐々木融氏

佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長

[東京 23日 ロイター] 8月22日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、多くのFOMC委員が「今後入手できる情報が大幅かつ持続可能な景気回復ペースの加速を示さない限り、追加の金融緩和はかなり早期に正当化される公算が高い」と判断していることが明らかになった。

9月12―13日に予定される次回のFOMCで何らかの追加緩和が行われる可能性は高いであろう。

追加緩和の内容として有力なのは、現在「2014年終盤まで」極めて低い政策金利を維持するとしている政策ガイダンスの延長である。次回FOMCではこの期間が「2015年半ばまで」に変更される可能性が高いと予想する。

量的緩和(QE)についても、「多くのFOMC委員が、景気回復への追加支援に資することを期待」と記述されている。9月のFOMCでQE3が行われる可能性は比較的高いと予想するが、政策ガイダンスの延長と同時に行うかどうかは微妙なところだ。仮にQE3を開始するとしても、小額ずつ実行するという選択肢もありそうだ(たとえば、今後2ヶ月間で1500億ドルの資産買い入れを決定し、それ以降は12月のFOMCで再度検討する)。

実は、2010年11月3日から開始されたQE2の際も、その数ヶ月前の7月14日に発表されたFOMC議事要旨で追加緩和期待が高まり、8月27日のジャクソンホールでのバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長講演でそれが確認されたという経緯がある。したがって、当時のFOMC議事要旨から実際にQE2が開始されるまでの市場の動きを振り返ることは、これから次回FOMCが行われる9月12―13日までの今後約3週間の市場の動きを占う上で参考になる可能性がある。

<クロス円は比較的大きく上昇か>

FOMC議事要旨公表からQE2に至る3か月半に及ぶ前回の道のりの中で顕著だった動きは、米長期金利低下と米ドル安である。

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