コラム:リーマン危機前夜に似た国際マネーの流れ=熊谷亮丸氏
熊谷亮丸 大和総研 チーフエコノミスト
[東京 3日 ロイター] 6月17日のギリシャ再選挙では、緊縮財政派の新民主主義党(ND)が勝利し、同党を中心とする連立政権が発足した。「ギリシャのユーロ圏離脱」の可能性がひとまず低下したことを受け、国際金融市場では株高・ユーロ高がいったん進行した。
確かに「最悪の事態」は回避されたが、結論としては、欧州ソブリン危機が解決したとの見方は時期尚早であり、今後も不安定な状態が続く見通しである。
欧州ソブリン危機が日本経済に与える影響に関する大和総研のシミュレーションによれば、最悪のケースでは、わが国の実質GDPは4%以上押し下げられるリスクがある。試算結果については、相当程度の幅を持って見る必要があることは言うまでもないが、今後、欧州ソブリン危機が深刻化した場合、日本経済がリーマンショック並みの打撃を受ける可能性があり、要注意である。
本稿では、グローバルなマネーフローの動向に焦点を当て、この危機が再度深刻化した場合のリスクシナリオについて考察したい。