日本の過剰流動性がもたらすもの
日本の余剰資金がヘッジファンドに流れているのは、今に始まったわけではありません。
リップルウッドにも複数のジャパンマネーが出資しているのは周知のことで、新生銀行上場では、日本人も儲けたというのが事実ですし、間接的にはWTIの高騰にも一役買っていると言えます。
FOMCが利上げしているにも拘らず、一部市場で過熱感が冷めないのは、日本からの資金流入が衰えないからだとも言われています。
日銀のゼロ金利政策がもたらす過剰流動性は世界のマーケットに影響を与えていますが、過剰資金がヘッジファンドに移動するくらいなら、直接日本の株式を買ってもらえると、本当はありがたいのです。
仮に5.8兆円が東証一部を買うと、TOPIXは理論上1.7%上がります。
あるいは1400兆円と言われている個人金融資産の5%が株式に振り向いただけで、TOPIXは20%上がる計算。
その結果、郵貯や銀行預金が減少して国債が売れ残ると金利が上がってしまうので、外国人投資家にも日本国債を買ってもらう事が必要になるでしょう。
今月財務省は、高橋是清以来101年振りにロンドンで国債の投資家向け説明会を開催しましたが、郵政民営化により、国債の安定的な消化が難しくなることに金融当局が一定の危機感を持っている現れと思われます。
一定の金融緩和を維持しつつ、国債の一部を海外で売り、個人資金が株式投資に回るという循環が成立すれば、長期安定的に株価は上昇するでしょうが、逆回りすると大変です。
どんなに業績が良い銘柄があっても買う資金が潤沢に無ければそれほどは上がらないので、株にしろ不動産にしろ、所詮資産価格というものは、マネタリズムの支配下にあると認識すべきというのが、バブルの教訓でしょう。
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