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March 21, 2006

S&Pはボーダフォン買収をどう評価しているのか

S&PはVFJの格付けを6ノッチ引き下げましたが、その理由を具体的に3点挙げています。

1)英ボーダフォンからの支援の可能性がなくなること
2)新しい親会社となるソフトバンクの信用力が英ボーダフォンよりも大幅に低いこと
3)ボーダフォン日本法人のキャッシュフロー(CF)を返済原資とするLBO(レバレッジド・バイアウト)により買収資金が調達されるため、同社の財務上の負荷が重くなると見込まれること


1)についてですが、S&Pは元々親会社が支援策を打ち出す可能性を相当程度高く考えていたようで、後段に次の記述があります。

「日本市場においてシェア3番手であることや、収益性が低下傾向にあることなどを考えると、英ボーダフォンからの支援の可能性を織り込まない場合、日本法人の信用力は大幅に低下すると考える。」

後述しますが、VF親会社は日本法人に多額の融資を行って、実質的な支援を行っていました。

2)についてですが、SBが英ボーダフォンよりも信用力が低いことは、事実でしょう。

3)については、まだ確認されていない部分が多く、S&Pも次のように付け加えています。

「「クレジット・ウォッチ」の継続は、今後のソフトバンクによる買収手続きの進捗状況とLBOのスキームの詳細を確認する必要があるためである。」

今回の買収スキームの中で、VFJが生み出すキャッシュフローの一部が切り取られて証券化されたり、融資の担保となったりすることで、信用力に影響があるだろうという前提で書かれているものと考えられます。

参考までに、現在のVFJがどのような資金調達を行っているのかを見ておきます。

VFJは2005/3現在、1750億円の社債、80億円の長期借入金、1885億円の短期借入金があります。
短期借入金は1年前4500億円ありましたが、大幅に減らしました。

年間支払利息は4672Mで、期末有利子負債残高に対して1.26%です。

個別に見ると、社債のレートは平均で2.05%。
短期借入金は英VFの金融子会社からのもので0.4%。
長期借入金は2.34%。

英VFからの短期融資は実質長期的なものと考えれば、前述したように救済的な色彩が色濃く、この分が今回のVFの劣後借入1000億円と優先株3000億円の一部に振り替わったと見ることが出来ます。

今回スキームで銀行団から1兆円あまり借り入れるノンリコースローンは、まさか0.4%にはならないので(おそらくは2%台)、VFJのキャッシュフローは従前寄りも拘束される部分が増えることは間違いありません。

S&Pは、また、VFの事業内容について次のように言及しています。

「2005年12月末時点の市場シェアは16.8%とドコモ(55.9%)やKDDI(27.4%)を大きく下回る。またボーダフォン日本法人の解約率は2社に比べて高く、またARPU(ユーザー1人あたりの収益平均)が低い。」

敢えて反論を試みるとすれば、下記の通りです。

例えばauの解約率は1.4%前後ですが、VFは04年度1.9%ありました。
但し、2005年度を四半期毎に見ると、1.68%、1.59%、1.46%と、ほぼau並に回復していることは注目されます。
これは、いよいよ加入者が減って、目移りする人さえいなくなった結果とも言えますが、一応素直に評価出来るでしょう。

ARPUは、auの今期予想7000円に対して6000円程度と見劣りがします。
しかしこれも、四半期毎に見ると、5951円、6016円、5918円と下げ止まりが顕著。
これ以上は下がりにくい水準であり、今後の改善余地が大きいことはむしろ期待大です。

なお、S&Pは、「LBOによる負債の増加で資本・負債構成は新しい親会社のソフトバンクと同水準程度以下にまで悪化する可能性があり、格付けはさらに2-3ノッチ程度引き下げられる可能性がある」と言っていますので、覚悟はしておいた方が良いと思われます。

S&Pの発表原文はこちらです

いうまでもありませんが、S&Pは発行体の信用力を評価しているだけで、その見解は、事業の将来性、成長性には何の関わりもありません。

auユーザーである私は、今回の件で初めてVFのHPを見に行きました。
同じような人は多いでしょうから、今回の件が、VFの認知度を高めたことは確実です。

半年後には、伊東美咲が「ヤフオクするならヤフーフォン!(注)」と微笑んでいるポスターが、駅で争奪戦になっているかもしれません。

(注)新ブランド名に関する極秘の情報に基づくものではありません。


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