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May 14, 2006

円高はいつまで続くのか

激しく上下動しているように思える為替の波動ですが、少し長い期間で眺めると、また別の側面が見えて来るのではないでしょうか。

60w


このグラフは、約1年間(60週)の円ドル、ユーロドル、豪ドルの推移です。

面白いことに、途中の動きは全く異なるのに、最後はほとんど同じようなポイントに集約しています。

円はいずれの通貨に対しても、数%程度の円安です。

対ドルレートは、105円→110円
ユーロは139円→142円
豪ドルは83円→85円


さらに長く8年間で見ます。

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ドル(赤いライン)は、2003年までは一貫してトップの強さにありましたが、2003年春にデッドクロスしてからは、常にビリ。
現在では、豪ドル、ユーロ、ドルの順位が固定しています。

先ほどの1年間の結果は、順位に大きな変動が起こることをマーケットが許容しなかったのだと解釈すると興味深い気がします。

特に今回のドル安により、この3通貨には決定的ともいえる乖離幅が生じました。

2002年のユーロ誕生による欧州の復権、イラク派遣に始まったアメリカの国際社会での孤立と弱体化、資源国の成長と資金移動。

そうした国際社会のポジショニング変化を反映している結果と言えそうです。


次に円ドル関係だけを取り出してみます。
さらに長く、15年間の月足です。

Yd180m


レンジが徐々に狭くなっているのがわかります。

1998年の円安ピークは147円、2001年は135円、2005年は121円。
3~4年に一度訪れる円安の頂上は10円ずつ程度切り下がっています。

これは長期的なドルの弱体化を示しているものでしょう。

また、90年代には、80円台からわずか3年で140円台に振れるなど、凄まじいボラティリティがありましたが、今後は有り得ないように見えてきます。

日米の通商摩擦は、90年代には世界最大のインバランスであり、アメリカの世界経済戦略における最大のターゲットでした。

クリントン政権に取っては、国内産業界に向けての政治課題でもありましたし、USTR代表カンター氏の姿を覚えていない日本人はいないでしょう。

現在もアメリカの貿易は対日赤字ですが、その額は対中国の2分の1程度。(2006年3月数値)
自動車中心に日本との貿易摩擦はあるにしても、対中関係に比べると重要性は大きく後退したため、円ドルの振幅もかつてほど大きくはないと解釈出来そうです。

円がいわば元の代理通貨としてターゲットにされていると理解するのであれば、現在の円高に転換点があるかどうかは、中国の対応次第であり、中国要人の何らかの発言が、この相場に決定的なインパクトを与えるような気がしてなりません。

いずれは元も完全変動相場制の仲間入りをし、市場で自由に交換出来るようになるのでしょうが、そうした場合には円ドルの重要性は低下し、長期的に見た場合の均衡点である112~115円を基準として、まさに金利差、経済の実力差をメインファクターとした動くと思います。

それは同時に、世界のダイナミズムの中心が日本から遠ざかり、穏やかに暮らしていける未来の姿なのだろうと想像されます。

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Comments

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Posted by: Yasu | May 16, 2006 07:46 AM

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