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August 27, 2006

ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実-

潜入ルポによりアメリカ低賃金労働者の実態を深く抉り出して、2001年にアメリカでベストセラーになった「Nickel and Dimed」の翻訳が出ました。

ジャーナリストである著者バーバラ・エーレンライクは実際にウェイトレス、掃除婦、そしてウォルマートの店員になり、そこで働く人々の苛立ちと諦め、そしてそこから抜け出さない仕組みについて体験。

フロリダ、メイン、ミネソタと3ヶ所で働いていますが、共通の悩みは住居費の高さ。

フロリダのウェイトレスの時給は、わずか2ドル43セント。
チップを入れて6ドル程度なので、月給に直すと13万円。

以前蔑んでいた月675ドルのトレーラーハウスさえ高嶺の花となり、どうにか郊外で500ドルのワンルームマンションを借りるものの、収入が足りず、ホテルの客室清掃も掛け持ち。

結局は、疲労とストレスでダウン。

さらに仕事探しと転職の障害になるのが、全米の企業に広まる性格テストと薬物検査。

雇用主に気に入られるような答えをしなければいけないというプレッシャーと、薬物検査に義務付けられる尿検査の恐怖と屈辱。

日本より遥かに雇用の流動化が進んでいると考えられているアメリカも、実際には「持てる者がルールを決める」という現実の中で賃金は不当に低く押さえられ、それを踏み台にした景気拡大で上がり続ける不動産賃料。

板ばさみの貧困層には誰も手を差し伸べない現実があります。


ソ連と中国が共産主義に成功しなかったことで、資本主義の有利性が過大に評価されてしまっているのが現代の姿なのかもしれませんが、同時に行き過ぎた貧富の差が実現しているとも言えます。

「見えざる手」に期待し過ぎてはいけない、ということは誰しも感じているのですが、では誰に任せるのか。

国に任せようにも、二束三文で叩き売られたグリーンピアや年金不正免除に代表されるように、日本の官僚システムには預かった資金を運用するスキルも、誠実さも無い。

市場機能に任せた結果、先進国の中流層が新興諸国の追い上げにあって次第に下流社会へと引っ張られて行くのが現状認識とするならば、いずれは社会の頂点近くに立つ者もその重力に逆らえなくなる時が来るのは自明です。

対抗する手段はあるとしたら、追いつかれないように、さらに上へ逃げるしかないのでしょうが、そのこと自体がさらに格差を広げるエネルギーでもあります。

ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実

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