JALは生き残れるのか
世界の航空業界に再編の機運が高まっています。
アメリカではコンチネンタルとユナイテッドが合併交渉中。
格安航空業界でも、エアトラン(旧バリュージェット)が同業のミッドウエストに買収を提案中。
ヨーロッパでは2004年にKLMとエールフランスが経営統合しましたが、そのエールフランンス-KLMが今度は経営不振のアリタリアを飲み込もうとしています。
オセアニアではカンタス航空が標的になりました。
国益も絡み、難しいかと見られていた買収提案は、カンタス航空取締役会がTOBを了承。
豪投資会社アルコが46%、豪マコーリー銀行が15%を保有し、非公開会社となる見込みです。
ここにはアメリカの投資ファンド、テキサス・パシフィック・グループやカナダの投資会社オネックスも参加しており、国際投資マネー連合が優良航空会社資金をターゲットとする時代となりました。
日本では、JALとJASの経営統合により、航空業界再編劇は終わったというイメージがありますが、ANAとJALの現状は際立って対照的です。
JAL ANA
中間純利益 15億円 332億円
営業CF 725億円 1138億円
現金勘定 2952億円 2340億円
有利子負債 1兆1748億円 7670億円
うち短期 1944億円 1255億円
設備投資計画 1740億円 2070億円
うち航空機 840億円 1625億円
保有機数 278 190
BPS 122 202
JALは市場のブーイングを無視して、7億株の増資を強行。
当初2000億円の調達を目論見ましたが、株価が下落し、結局払込金は1386億円止まり。
現金勘定は2952億円と一見潤沢にはなりましたが、短期有利子負債は1944億円と高水準。
今上半期営業CFは725億円でANAの3分の2以下で本業は赤字。
今回の詐欺的なPOがなければ1年以内にCASHが枯渇する事態さえあったでしょう。
ムリムリ増資によってBPSは74円から122円になりましたが、それでもANAの6割の水準。
ANAは今中間純利益が332億円で、営業CFは1138億円。
現金勘定は2340億円で、3月時点と変化なし。
短期の有利子負債は1255億円とJALの3分の2。
既定路線であるホテル部門売却代金(1000億円以上?)と本業利益を考慮すれば、JALを上回る2000億円以上の設備投資は問題なし。
ANAは羽田の発着便増枠を睨み、JALの2倍の航空機投資を予定していますから、国内便でさらにJALを追い込むでしょう。
JALはさすがにもう資本市場からの調達は出来ないでしょうから、最大レンダーである政策投資銀行等の出方次第で、かなり近い将来資金繰りが窮します。
最終的には破綻したJALが一旦国有化され、分割を経てANAに統合といった壮大なシナリオが最も可能性が高いと思いますが、その過程で国内外のファンドマネーが大きな役割を果たすのではないかと想像します。
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