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January 09, 2007

日立はどこまで買われるのか

日立(6501)の株価は年始から3営業日で9%急騰し、終値で800円の大台を越えました。

今買っている人は、一体どの辺りまでの目線を持っているのでしょうか。

子会社は皆安定した成績ですが、肝心の親が本来いくら稼げるのかという点に関しては、単体決算もここ数年特殊要因が多く、適当な実績が見当たりません。

仮に親が健全化した場合の当期利益を、売上2兆7千億円から類推して400億円と想定し(ちなみに東芝の単体今期予想は売上3兆5千億円、最終利益700億円)、それに主要上場子会社11社(時価総額1000億円以上、以下「主要子会社」)の持分利益を合計して潜在的な力を推測すると、1230億円あまりとなり、EPSは37円。

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他にも日立造船など上場会社は10社ありますので、その分を上乗せすると、アバウト40円。
現在の株価はおよそPER20倍です。

今日時点で東芝が23.7倍ですし、業績がパッとしないソニーでさえ、今日の暴騰でPER65倍、来期ベースでも29倍ですから、日立(親)が膨大なコストをかけずに再建出来るなら、高くはないでしょう。

連結PBR1.13倍を囃す声もありますし、また、時価総額の逆転に注目したコメントも多くあります。

実際主要子会社の時価総額は合計で3兆4260億円。
親の時価総額は2兆7千億円なので、7000億円も下回っています。

NTTグループを見ても時価総額逆転は見られますし、そんな事は今までも周知の事実なのですが、相場は特定銘柄に集中して上げたがっているように見えますから、7000億円のマイナスプレミアムを材料視する人がいても不思議ではありません。


現在東芝グループは全体で1100億円の当期利益、EPS34.2円で時価総額2兆6千億円です。

これと比較して、仮定の健全化後日立グループ全体を同じPERで考えると、株価944円で、時価総額3兆1790億円です。

これでもなお日立グループの主要子会社の時価総額を下回っているのは、それだけ日立の子会社群に対する市場の評価が高いことの証しです。

日立の時価総額が少なくとも主要子会社合計と同額にまでなるとするなら、株価は1017円です。
もっとも、実際に株価が4桁だったのは、2001年夏まで遡らなければなりません。

そもそもこれだけ数多くの会社を上場させ、なおかつ過半数の議決権を有するという資本政策には、やや無理があるともいえます。

市場から広く資金を得てパブリックカンパニーとしているのに経営権を手放さないのは、「良いところ取り」でバランスを欠いており、そうした歪みが今あらためて市場から「コングロマリット」としての適正株価を問われる原因であるとも考えられます。

・親が立ち直るなら安い
・子供を直接買うよりは支配権が安く買えそうだ
・東芝が上がるならこちらも上がるだろう

そして、実際の可能性は低いと思いますが、本当にM&Aの対象となるならプレミアムが期待出来る、などという思惑も買い方の心の支えなのかもしれません。


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