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February 18, 2007

J-REIT展望

REIT指数は昨年夏から40%以上急騰し、利回り商品として穏やかな動きを期待する立場からはチキンレースに見えなくもありません。

こうしたヒートアップ状況がシクリカル(周期的)なものか、より永続的なもの、即ち価格決定メカニズムの転換とでもいうべき状況なのか、という議論が今あちらこちらで盛んに行われています。

個人的には、世界的な低金利を背景にした、非常に長い周期的な現象だろうと思っています。

先週市場を揺るがせたダヴィンチセレクト問題の冷却効果は限定的でした。

昨年6月のいわゆるオリックスショック時には、リート指数は1647から1535と2日で7%低下しましたが、今回は前回よりずっと高い位置にいるにもかかわらず、2379から2331と2%の微震に止まりました。

オリックスとダヴィンチのインパクトサイズの違いと、学習効果によるものでしょう。

今回の具体的な指摘事項は、ダヴィンチ側の発表によると、本来608Mの資産を660M、1990Mの資産を2080Mで購入し、合わせて142M「高い買い物」をしてしまったということのようです。

鑑定評価を取得するうえでの細かい注意力が不足していたことと、一般的に不動産価格は結構アバウトに決まるものなので、詳細な説明が求められるREITの取引にもかかわらず、そうした大雑把な感覚で価格決定をしてしまったということかと思います。

とはいえ、総資産1400億円に対して具体的な指摘額が142Mに過ぎないとすれば、スポンサーの言いなりで「出口戦略として利用されている」とまでの批判はあたらないでしょう。

18年11月期の確定分配金は20196円。
売却益を除いても15400円はそれなりの評価が可能です。
(もっともLTV60%、変動金利負債比率76%は長期保有するには躊躇する運用姿勢です。)

現在REITの保有者は、個人がどんどん減り、外国人、銀行、投信が増えています。
いわゆるヘッジファンド系は短期の売買を繰り返す傾向があるものの、全体としては個人が売り、機関が買うという構造です。

日本の不動産は、所有権を保護し過ぎる日本の制度と土地神話により、これまで少数の企業や個人によって所有されて来ました。

それが多くの投資家による共有化へと進んでいる過程にあるといえるわけで、その結果いずれ値動きは安定し、確実な利回りを得られる「証券」へと進化していくことが期待されますが、これは一方でさらに金利敏感商品となる道でもあります。

現在REIT全体を加重平均したイールドスプレッドは130bsp位となっているようですが、これは香港などと比べてほぼ同レベルに達していますので、海外と比べて明らかに割安といった状態は解消されつつあると認識した方が良さそうです。

海外投資家はこうした指標に素直ですから、既に相当程度上昇した時価総額上位銘柄は、これまでのようなやみくもな買われ方は過剰期待で、モデレートな上昇ペースに戻ると予想します。

先週のMSでみずほの石澤さんも語られていたように、出遅れの住宅系にはまだ水準訂正のチャンスが有ると思いますが、REIT市場はこれまで本格的な金利上昇の洗礼は受けていませんので、日銀が利上げした場合、あるいは長期金利が何らかの理由で上昇した場合、投資家が極端にナーバスな反応をするリスクには注意したいところです。


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