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June 16, 2007

世界の金利もフラット化していくのか

長期金利の急激な上昇で萎縮していた投資マネーは再び活発になり、株式市場の戻りに連れて為替市場では円安の進行が過激です。


香港市場ではA株とH株の鞘寄せ期待が強まり、H株指数が1週間で5.7%上昇。
チャルコやチャイナ・モリブデンなど資源銘柄が特に急騰しています。

こうした物色傾向を見ても、今後のインフレを懸念する心理は強く、債券市場では短期的なロングポジションが巻き戻されたため、再度長期金利が元の水準に戻るシナリオは当面考えなくて良いと思います。

昨日発表された米国CPIは、コアインフレ率が予想を下回ったことで長期金利が低下し、株式市場への支援材料となっていますが、前年比上昇率は2.7%と強い数字であり、長期投資の観点からはむしろインフレ対応銘柄への強気材料となることの方が重要と思われます。

グローバリゼーションが究極まで進んだ世界を仮定すると、物価はその国の景気に左右されるのではなく、世界全体の景気で決まるということになるでしょう。

日本の景気がどうあろうと、中国人がマグロを食べ始めればマグロは上がるわけで、日本がゼロ成長でも、世界が3%成長なら輸入物価は3%上がる、といった状況が想定されます。

現在のアメリカが景気後退局面であるとしても、アジア相手の商売は成長するので株価は上がり、物価は好景気の世界需要によって上昇します。

そして物価に合わせて金利が決まるとすれば、国内景気と金利の連動性が薄れ、低金利の国は高金利国の物価水準に合わせて金利を上げざるを得なくなります。
昨日の為替市場は、慎重とも思える日銀総裁発言に対して、むしろ利上げを催促するかのようなムードになって来ました。

EUの中には、フランスのように社会民主主義的色彩が強く成長力が弱い国と、ポーランド、チェコ、エストニアなどのように伸び盛りで成長率が高い国が混在します。

いくらフランスが低金利を望んでも、ユーロの金利は一つですから、バカンス命のフランス国民も金利に合わせた働き方を求められ、サルコジを選ばざるを得なくなりました。

世界の金利がこうしてフラット化に向かう一方、イールドカーブもフラットになろうとしています。

先進国の長短金利差(10年と1年)は、ユーロ(ドイツ債)が0.3%、豪が-0.2%、そしてアメリカとカナダがほぼゼロ。

日本の1.2%はむしろ異常値ですが、長期金利が2%頭打ちで今後政策金利が上昇すれば、いずれ海外同様に縮小する方向に進むものと予想されます。

長短金利差を利用して利鞘を稼ぐという、日本のメガバンクの「頭を使わなくて良いビジネスモデル」は成り立たず、海外の金融機関はとっくに別の方向を目指しています。

金利がフラット化しようとする世界では、若く成長率が高い国は周囲から資金流入により、短期間で豊かになれますが、一方低金利でのんびりしようとする国は資金流出に苦しみ、金利政策の自由度が失われる結果、さらなる貧困層の増加を招く恐れもあるでしょう。

金融資産が乏しく運用手段を持たない人は、労働時間を長くすることでしか苦境に対応できず(現在でもそういった人が大勢います)、国は国民へのサービスを低下させるため、悪循環が起こります。

こうした現状を認識し、年金・国債・消費税・公的医療保険の赤字などの諸問題を包括的に解決する努力を早める必要がありますが、日本では製造業の業績に目が向きがちで、こうした財政問題の解決を後送りする体質が随所に見られます。

束の間の景気回復による税収増でホット一息ついている間に、国民の信頼が国家を維持するという枠組みは急速に瓦解しつつあり、その心理が円の海外逃避を押し進める原動力として働いているとすれば、問題は単に金利差だけではありません。


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