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June 04, 2007

円安は国家を分裂させる

「欧州産ウナギ、輸出規制へ・かば焼き高騰も懸念」というニュースが先週ありました。

ロシアが蟹の輸出を制限するとも伝えられています。

過去には強い円を背景に世界の水産資源を独り占めしていた日本も、今や中国にセリ負けするようになりました。

不動産価格も外資の力で国際水準に訂正されつつあり、食費と家賃という二大固定費が上がれば、生活に最低限必要な支出ラインが上昇し、さらなるワーキングプアー層の増加を招くでしょう。

日本には「高金利に対応している世界」と「低金利でしかやっていけない世界」があるようです。

競争力ある職業に従事し、運用資産を所有する層は、円安を利用して資産形成が図れます。
「売るための円」を持っているクラスとも言えます。

典型的な低金利の世界である国内流通業等に従事している場合、個人消費の低迷でサービス価格が激しい競争下にあることもあり、なかなか賃金が上がりません。
世界的に決して高いとはいえないタクシー料金の値上げ認可にも待ったがかかっています。

日本の長期金利は歴史的に見れば本当に低いレベルですが、先週は1.78%まで上昇。
日銀の利上げを織り込むと言うよりは、アメリカの金利上昇に連動した結果でしょう。

日本人が低金利の世界で暮らしたい、といっても、もはや世界がそれを許してくれなくなっているとも解釈できます。

低金利に安住したいと希望する人が無理やり高金利の世界に連れられていく場合、そこでどうにか生き残るためには、高い利回りに見合うように馬車馬のように働くか、知恵を使って投資で収益を上げるかしかありません。

これまで先進諸国は、輸出競争力維持のため、少しでも自国通貨が高くなると、口先介入するのが常態でした。

今ではEUもオーストラリアも、自国通貨高によるインフレ抑制効果を積極的に評価する発言を行うようになりました。

カナダのハーパー首相も、「カナダ・ドルの上昇は、カナダ経済の基調的な強さの反映」、製造業部門の雇用を守るために同国通貨上昇を抑制しようとするのは「大きな誤り」との認識を示したと報道されています。

カナダやオーストラリアは資源国だから通貨高を容認しやすい、という背景はありますが、通貨安を利用して輸出で稼ぐという国のあり方から、むしろ通貨高で増加した購買力を利用しつつ国富を形成しようという考え方への転換が先進国の間で進みつつあるようにも思います。

今や先進国で通貨安を無条件に望んでいるのは日本くらいではないか、という事情も為替市場に反映されているのでしょう。

円安は基本的には国家の力の衰退であり、もはや日本は、国民全員の「健康で文化的な生活」を保証する力が無くなっているのかもしれません。
そのため、多くの人が退職しても死ぬまで「額に汗して」働くことになりそうです。


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