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November 24, 2007

どうなる人民元

「人民元上昇は加速が必要」と明言する欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が、今週27日中国を訪問します。

また「為替相場の急激な変動を歓迎しない、市場は日本経済が改善していることを認識するべきだ」とも言い、人民元が十分に上がらないなら、円高(ユーロ安)を望む姿勢を明らかにしています。

23日の人民元相場は、基準価格が初めて1ドル=7.3元台に突入し、引け値は1ドル=7.406元(1元=14.55円)。

人民元は2005年7月まで1ドル=8.3元で固定されていましたから、2年以上かけて約10%の切り上げ。

この間、ユーロは1.21ドルから1.46ドルと20%、豪ドルは0.75ドルから0.88ドルと17%。
主要通貨は概ね2割程度上昇していますから、数字で見る限り、人民元が不当に安いという声はもっともな部分があります。

中国も十分承知していますから、温家宝首相は19日、「人民元の柔軟性を徐々に高めていく」と発言し、ガス抜きを図っています。

現在の中国は投資過多、消費過少の経済。

投資による生産過剰が輸出ラッシュを招き、同時に不動産や株の上昇を支えていますが、金融や高度なサービス業は未発達。

そのため、大卒者の4人に1人は就職できず、上海での大卒初任給はむしろ下がる傾向にあるという歪な状態です。

社会保障の未整備による子供への過剰期待、農村からの進学志向など高まる教育熱により増える一方の大卒者やMBA取得者に対し、受け皿となる勤務先が育っていない、というミスマッチが目立ちます。

無理を強いて中国経済が壊れれば、世界が困りますから、いくら迫っても大幅な元切り上げは難しく、もうしばらく日本を含めてその他の国で通貨高を引き受けなければならない状態が続くのかもしれません。

中国が元高に踏み切るには内陸・農村部を中心に所得の上昇を図り、社会の安定性を高めて、投資中心から消費中心へと経済の重心をシフトさせる必要があります。

この現状は、現在の発展は相当嵩上げされており危うい、という評価がある一方、今後の消費社会への転換は必然であり、そのアップサイドは非常に魅力的、という見方も成り立ちます。


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