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January 20, 2008

「実物」へのメガトレンド

どの国でも、まずは十分食べることが出来るようになることが目標ですから、最初は農業の生産性向上からスタートします。

次には工業化が進み、人が都市(City)に集まります。
上海万博のテーマが「Better City Better Life」なのは、中国の今の課題を象徴しています。

日本は工業化のステージにおいて、自動車やエレクトロニクスの分野で、アメリカに打ち勝ちました。

平野部の少ない日本の国土が都市化に向いていたとは思えませんが、ロジスティックの問題、工業用地や住宅不足など多くの課題を、新幹線、道路、埋め立て、宅地開発など大規模なインフラ整備とサラリーマン層の「忍耐」によって克服しました。

忍耐出来たのは、まだ敗戦の屈辱感が残っていたからだと思います。

今でもその成功体験に縛られて、道路を作り続けることが目標になっている、即ち道路を作る人を代表に選ぶ地域が多いことは、国際的な日本の評価を下げています。

こうしたインフラ整備信仰は、工業化のネクストステージであるIT、金融サービス業などソフト重視の産業には適さず、日本は事実上、工業化ステージで停滞しています。
これは一部の識者から「モノ作り偏重主義」と批判され、円安でしか生きられない体質の一因となっています。

しかしながら、最も先端的モデルであったはずのアメリカの金融業界がモラルを失い、証券化テクニックに溺れ、信用を失墜しました。

日本がバブルの後遺症で大きく萎縮してしまったように、アメリカ投資銀行業界も、今後一定期間、懲罰と反省の時代に入るでしょう。

消費社会を追求して行くと、日本やアメリカのように「過剰な金融が無理やり消費を作り出す」ことで大きく躓いてしまう、という危機感が共有され、環境というキーワードに誰もが振り向くようになりました。

折りしも新興国では中産階級が急速に増加していますが、これらの国で不足しているのは農業、工業製品です。
複雑な金融商品を求めているのではなく、豚肉や29万円の自動車が求められているのです。

金融の行き過ぎと実物需要の増加という背景から、「農鉱業→工業→金融サービス業」という豊かさの移行過程が修正され、金融業から農鉱業への資金シフトが起こりつつあります。

「農鉱業→工業→金融サービス業→農鉱業」となれば、発展系がリニアからサイクルになり、循環的で持続的になります。

エネルギーや穀物相場の高騰は確かに問題ですが、産油国や農家に所得の移転をもたらしたことは事実です。

移転した「量」が適切かどうかについては議論があるでしょうが、これまでの発展の恩恵の差を考えるなら、移転したこと自体は正当化されるような気がします。

もちろん単に商品市況に投資マネーが参入しただけでは問題解決になりません。
発展した金融業は、資産価格を上げることにばかり夢中になるのではなく、実物生産性向上のために資金を誘導するのが社会的責務だ、ということになるかと思います。

日本の投資銀行とも言える大手商社が農業への直接投資を始めたのは、儲かると思うからだと言ってしまえばそれまでですが、こうしたメガトレンドの一翼を担っているとも評価出来そうです。


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