ツケを残しながら世界は進む
週間で見ると、DOWは+4.3%、日経平均は-1%、ハンセン指数は-4%。
M&Aによる底上げがあったNY、大雪の影響がある香港など個別性はありますが、あの1月21、22日のトンデモナイ下げは、ソシエテジェネラルの特別要因だったことが浸透し、大底からは抜け出したように見えます。
中国大陸株は、閉鎖市場であるため、こうした世界潮流とは違い、さらに下値を模索中。
オリンピックイヤーは試練の年となりそうです。
以前から懸念されていたアメリカのモノライン問題も表面化して、市場はそのリスクを次第に織り込みつつあり、一枚一枚薄いベールを剥ぎ取るように、サブプライム問題の不透明感は減少しつつあります。
金融機関の損失は、あと数兆円出て来るだろう。
アメリカの雇用は、やはり悪かった。
不動産は簡単には持ち直さないだろうから、消費も当然悪くなる。
そしてFRBは景気の落ち込みに応じて金利を下げる。
こうしたコンセンサスが、市場のボラティリティを徐々に安定させてはいます。
但し、今後アメリカの不動産市況が予想以上に悪化する可能性を考えれば、DOW12700$に割安感はありません。
世界的な景気後退予想から原油は90$を割り込む水準まで下がって来ましたが、ゴールドの強気チャートは崩れていませんし、12月に持ち直したドルインデックスは再び弱気に傾きかけています。
アメリカのリセッションを防ぐため、ドルの低下止む無し。
このFRBのメッセージ通り市場は動いています。
ドル安で輸出は伸びていますし、割安になった不動産価格には買いも入るでしょうから、アメリカ経済には一定の下支えが期待されます。
しかしながらドルの威信は戻らないでしょうから、過剰消費で海外に出たドルを債券投資で吸収し、それをまた世界の高成長市場で運用して金融収益を謳歌する、といったファイナンスサイクルの運営は厳しくなると思います。
メリルの優先株は9%配当ですから、資本コストの上昇は金融機関へのボディブローとなります。
「アメリカ国民よ、我々の金融業界は傲慢で尊大であった。
数年間のリセッションを受け入れ、勤勉に励み、貯蓄の美徳を思い出し、軍事力による威嚇ではなく、世界からの尊敬によりドルの価値を取り戻そう。」
こうした禁欲的なメッセージを発するほど、FRBは崇高な存在ではありませんし、そうであることを世界も望んではいません。
厳しい選択を後送りにした分、世界の株式市場は短期的にはそれほど悪いことにはならないでしょうが、その代わり、インフレという強敵が、じわじわと世界の首を絞めていくことになると私は思います。
世の中を牛耳っているのは何時でも中年以降の世代であり、その判断のツケは常に次の世代に回って行きます。
この記事が参考になりましたら BlogRankingに一票をお願いいたします。
Comments