カーリー・フィオリーナのTough Choices
この本を読むまで、私が知っていた事実はただ一つ。
彼女が辞めた2005年2月からHP(HPQ)の株は上がり始めた、という事実だけでした。
読んでみて、彼女は実に誠実で努力家、真面目な人だということが良くわかりました。
アメリカのビジネスシーンがどういったものか。
エグゼクティブはどういった教育を受けて、どういう思考をするのか。
マッチョを尊ぶアメリカで、女性がいかに苦労したのか。
リーダーはどうあるべきか。
下手な経営ノウハウ本よりも、百倍ためになります。
HPの歴史について私は良く知りませんが、総合的に見てやはりコンパックの買収は失敗だったのだと思います。
一方、それまで組織としてバラバラだったHPに、ごく普通の全体最適思考や顧客志向をもたらしたのは、彼女の功績と言えそうです。
これまでの経験と知識で太刀打ち出来るところまでは及第点で、それ以上の応用編は不出来だったようですから、CEO解任後の株価上昇の半分くらいは、彼女の改革の成果と言えそうにも感じました。
解任の時が近づくに連れ、この本の記述もかなり断片的でわかりにくくなります。
誰と誰が仲が悪いとか、感情で決めた人事は間違いだったとか、およそ冷静なCEOらしくない。
創業者一族との対立に加え、メディアや市場からの絶え間ない攻撃もあり、さすがの彼女の判断力や分析力も相当落ちてきていたようです。
今の段階でこれだけに纏めるのが精一杯だったということは、当時の現場の混乱は相当に酷かったのではないかと想像されます。
残念ながら彼女は、この複雑で巨大な企業の手綱をしっかりと握ることは出来ませんでしたが、だからこそ、この失敗からは大きな教訓が得られるのであり、全てのビジネスパーソンに取って価値ある1冊となっていると思います。
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