日本のデフレは終わらないのか
コストプッシュ型の輸入インフレや人材不足が日本の物価を押し上げて行くという考え方がメディアの一部では主流(?)のようにも思えますが、デフレは終わらない―騙されないための裏読み経済学の著者上野 泰也氏は日本のデフレ脱却に否定的です。
タクシーの値上げは供給側の温存によりデフレ要因、だと言い、人口減少で満員電車が解消するという見方に対しても、電車の運行も減るから無理、という冷めた見方をしています。
毎日「痛勤」している私はがっかりです。
データを重視する上野氏は、コストプッシュ型インフレは一時的であり、日本の需要が減少する以上、デフレ社会がこれからも続くと予想されています。
もしそうなら、コスト上昇と最終需要の減少に挟まれて、日本人はさらなる収入減少に見舞われます。
海外でチャレンジすれば別でしょうが、高齢者には無理な相談です。
何とかしなければいけない、という認識は共通だと思います。
日銀は利上げを目標とした金融政策を見直すと報道されています。
一部の政治家は、硬直した移民制限政策を柔軟に見直すことを主張しています。
また、既にインフラがある都市部に移り住む、という方法はデフレ対策として有効でしょう。
実際、東京の人口は28年ぶりに総人口の1割を超えました。
収益還元的な価格形成が広まったことにより、今後の地価は、昼間人口も含めた住民の数に比例すると考えてほぼ間違いありません。
地価は下げ止まり、都市圏は上昇に転じているとはいえ、全体の水準は概ね20年前のレベルで止(とど)まっています。
日本は狭いという先入観念がありますが、人口減の日本では、現在の国土は広すぎて持て余しているのかもしれません。
OECDが発表している地域間人口密度の違い(k㎡当たりの最大数マイナス最小数)というデータがあります。
フランスが20000人、韓国は17000人、イギリスは9000人。
日本は5000人です。
パリ、ソウル、ロンドンなどへの集中度と比較すれば、日本は意外にも地方の人口の厚みがあるのです。
これは国土の均衡ある発展政策が成功し、それなりに地方が住みやすく、薄く広く国民が分布している証拠とも思われますが、逆の見方をすれば非効率で予算が分散し過ぎているので、さらなる都市集中の余地があるともいえます。
もっと肩を寄せ合って住み、その地域では土地も物価も賃金も上昇するという部分的なインフレ現象を起こすという考え方は、今の日本の対応としては合理的だと思います。
結果的に、一定の人口がいない地域は、止むを得ず足切りする、ということになりますが、このままみんなで貧乏になっていくか、ある程度の犠牲者が出る覚悟で全体の所得を伸ばすか。
政治がその選択から逃げている間に、国民は既に先を見て自分の住所を選択するという行動に出ているわけですし、これから始まる地方自治体の「大返済時代」に備え、こうした動きは加速度的に進むでしょう。
道州制の導入などにより、広域的に効率的な予算配分を行うことは、「待ったなし」だと思います。
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