« REITの割安度世界比較 | Main | まだ収縮は収束しない »

June 26, 2008

内需主導の成長はなぜ実現しないのか

スルガコーポレーションの民事再生法申請により、210億円の社債がデフォルト。
普通社債のデフォルトは、マイカル以来7年ぶりとのこと。

スルガのB/Sはさほど痛んでいる様には見えず、かなりの債務が返済されそうな見込みではあるものの、金融と不動産を巡る市場心理は、また一段と悪化しました。

反社会的勢力との関係は当然にペナルティが課されるべきですが、半年前には株価2000円近かった企業を、果たしてここまで追い込むことが妥当であったのか、という気もします。

今回の破綻劇により、信用力の低い中小企業を中心にスプレッドは拡大し、実質調達レートが上昇する方向に向かうように思います。

ユーロ円が169円台の最高値をつけるなど、円高リスクが遠のいていますが、日本がより内需主導型経済に移行し、円高とインフレに強い体質になるべきであるという論に、反対は少ないと思われます。

しかしながら、ここ数年を振り返ってみると、内需による成長実感は薄く、むしろ、この理念とは逆の方向に日本は向かっているとさえ言えるかもしれません。

個人にFXが普及した近年、日本のリスクマネーは、金利の低い国内から成長率が高い海外に向かい、何度か波乱はあったものの、大きな流れとしては金利差重視によるキャリートレードが成功しています。

民間企業は過剰債務の解消で筋肉質になり、民間資金需要は低下。
結局、家計の貯蓄は国が吸収し、効率が低い地方の建築投資に依然大きく配分されています。

賃金は全体として伸びず、相変わらず中小企業やサービス業は低生産性(=低賃金)に甘んじています。

金融部門はリスクテイクに消極的であり、未来を牽引する企業を育てているとはいえません。

内需の柱であるべき住宅は、建築基準法の「厳格な運用」もあって腰砕け。

少子高齢化による総需要の減少傾向という大きな背景の中で、

・新興国との競争による労働分配率の停滞
・内需を萎縮させる政策や、いわゆる「コンプラ不況」
・金融機関の慎重すぎる融資姿勢

などの理由が複合的に重なり、シニア層は年金不安、中高年は介護と老後不安、若者は現在と近未来の雇用不安に怯えます。

各世代それぞれに不確実性の未来を抱え、「未来は現在より悪くなる」というコンセンサスが広がり、消費は極めて増えにくい構造になっていると言えそうです。


この記事が参考になりましたら BlogRankingに一票をお願いいたします。

|

« REITの割安度世界比較 | Main | まだ収縮は収束しない »

Comments

日本は世界の中でも気候・水・食べものなどでとても住みやすい、つまり日本の良さって、究極的には一次産業にあるような気がします。

世界はこの日本を少しづつ「食」していくと思うんです。日本は世界の共有財産になるといった感じでしょうか。日本から巣立ったグローバル企業ばかりに目が行きがちですが、日本は孝行息子にタカル心理を捨てて、自分たちのよさを世界に向けて開放すれば必然新しい形の内需が振興するものと思います。

Posted by: Blue | June 26, 2008 11:35 PM

日本経済の斜陽化により、むしろ「敷居が下がり」、日本への海外からの関心は高まっているように思います。

世界に「共有される」日本文化としては、やはり自然との共生、協調、融合といったタイプのものが有力で、その象徴として「寿司」を代表とする食の文化がありそうです。

この分野では、まだまだ無限の輸出可能性があり、小麦文化の欧米には、麦焼酎なども将来有望と思います。

Posted by: akazukin | June 28, 2008 10:01 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« REITの割安度世界比較 | Main | まだ収縮は収束しない »