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June 16, 2008

どうして戦略的議論がないのか

「今までより負担が多いかどうか」ばかりが注目され、パッチワーク的修正が行われそうな後期高齢者医療問題。

増え続ける老人医療費をどう負担するのかは完全に置き去りです。

早く選挙をしたがるだけの民主党党首。

審議拒否を見たくて国民が与野党伯仲を選択したわけではありません。
国会で議論を尽くし、政権担当能力をアピールすることこそが政権への王道であり、対決ムードだけを煽る戦術は失望を呼びます。

長期的視点に立った戦略的議論がされないのは、国民自身がそれを真剣に望んでいないからです。

なぜ危機感が薄いのか。

日本は他国に支配されたことが無いから、という説が有力です。

台風に救われた二度の元寇。
島国という地理的な防衛力に依存し、江戸幕府は幕末まで、国境に無関心でした。

明治以降、列強が牽制しあい、植民地化されなかった幸運。
敗戦後の米国の占領は、冷戦構造という背景のため、支配よりも西側勢力としての戦力化に重心が置かれました。

過酷な被支配を経験していないため、失敗すれば奴隷化する、という切実な危機意識が共有されにくい国です。

近代における本格的な内戦も、西南戦争くらい。

妥協が上手く、深刻な対立を回避する国民性は、一方でトコトン議論を尽くすことを怠ります。

今、戦後を支えた中間層は強者と弱者に分断され、若年層と高齢者という新たな対立構造も加わり、政治を見る視点は多様化し、利益構造は複雑化しました。

もはや同質集団ではなく、単純なコンセンサス形成は極めて困難になっています。

自民党も民主党も、どちらにもバラ撒き体質があり、一体どの集団の代弁者なのか非常にわかりにくく、政党が政策集団として機能しているとは言い難い現状です。

利害の対立が複雑化すると、部分最適が全体最適に結び付かない事例が増えてきますので、総合的な利害調整をする組織が必要ですが、総理が短期的に変わる日本の場合、官邸パワーは持続力が弱く、官僚に負けてしまいます。

官僚は各省に帰属しているので、どんなに優秀でも省を越えた発想はできません。
それが出来る人はアウトサイダーとなり、大学に出るか、政界に転出してしまいます。

国の借金がいくらとか、単年度で予算がいくら足りないという視点だけではなく、国有財産の評価、国の将来債務などを含めたバランスシート議論を行える「経営企画室」のような横断的組織が望まれますが、もし設置しようとすると、各省は主導権取りと抵抗に終始するでしょう。

全体最適を実現しようとすると省益が邪魔をする。

これが構造改革に対する最大の抵抗勢力です。

P.S.
高橋洋一氏が金融庁顧問となり、また、氏を含む霞が関OBらが「官僚国家日本を変える元官僚の会(脱藩官僚の会)」を設立すると報道されています。


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