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August 23, 2008

貯蓄(国内)から投資(海外)へ

原油は木曜日に5%上がり、金曜には急落して、「行って来い」。

商品相場は全体には底打ち模様ですが、世界的な景気後退観測により上値を抑えられています。

但し、米ロだけでなく世界的な緊張関係は多極化により構造的なものとなるでしょうから、原油価格の底割れも現実的ではなく、上にも下にもトレンドは見えにくい状況です。

リーマンブラザーズの資本増強、GSEへの公的資金投入など、ポールソンが実質残り僅かな在任中に意地で決着を付けることが出来るかどうか、市場の期待感が上昇してDOWは買われているので、梯子が外れたら大変です。

日本株に関してファンダメンタルの改善は全く感じられません。

景気後退の度合いはバブル度が少なかった分、米英のように谷が深いものにはならないはずですが、逆に言えば「浅く長くなる」理屈。

これまでと同じように、その場しのぎの対策しか出来ないまま、じわじわと日本の体力は低下し、一握りのグローバル企業だけが生き残るシナリオが有力です。
国民は「節約と耐乏」が挨拶代わりになるでしょう。

そもそも景気対策は税金ですから、使えば我々の負担です。
広く撒いて(後から)広く徴収するなら、効果はゼロであることが、この15年間でわかっています。

証券税制は混乱中。

来年から100万円以上の配当と500万円以上の株式譲渡益は10%増税と決まっていますが、選挙対策から、高齢者、小口投資優遇、思いつきのマル優などを付加すれば、ツギハギで複雑になり、使い勝手はさらに悪くなります。

今年は個人もマイナスが多いでしょうから、例外なき損益通算、フラットな税率が望まれるところですが、日本の税制は「小手先が得意なテクノクラート」の手にあり、あるべき姿から遠ざかっていきます。

BRICS市場が底打ちすれば、個人金融資産を国内にとどめることは難しく、再び「円安期待=空洞化」というトレンドが復活。

政府が「貯蓄から投資へ」を推し進めれば、「国内から海外へ」を促進するだけかもしれません。

弱体化するアメリカに対して強い内需を持つアジアは期待が強いものの、実体としては、先に悪くなったアメリカに対して、これから深刻化するアジア経済という側面もあります。

エンジンにならず足を引っ張る老大国日本、インフレ抑制に失敗したベトナム、宴の後は課題山積みの中国経済、王朝資本主義の崩壊に揺れる韓国、そしてバブルの後始末が待っているシンガポール。

FTが18日付けで、「Singapore property set for a fall(シンガポールの不動産は墜落に向かっている)」という記事を載せています。
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2005年以来住宅価格は70%上昇。
この4月-6月は建築工事が17%増加。
オフィス・住宅の賃料は去年1年で70%上昇。

新築住宅販売は頭打ちし、第二四半期の住宅価格はわずか0.17%の上昇。

大手デベロッパーの直近四半期決算は、シティデベロプメントが15%減益、キャピタランドが43.5%、ケッペルランドが16%それぞれ減益。

シティグループでは、優良な不動産も今後20~30%下落するだろうと予測。

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この記事によれば、本格調整はこれからのようですから、大変恐いところです。


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