ドル買戻しは持続するのか
WTIがピークアウトして約1ヶ月。
マーケットはターニングポイントを通過したようにも見えます。
ファニーメイが予想を大きく下回る決算であっても、DOWは+302$、為替市場ではドルが続伸。
そもそもユーロドルは弱含みでしたが、7日のトリシェ会見以降一気に下落し、あっという間に1.50台。
これほどのユーロの急落は週足で見ても、ちょっと見つかりません。
利下げ観測が強まった豪ドルも急落。
日本人中心に過剰ともいえるロングポジションがあるため、来週は1年前の悪夢も脳裏に浮かび、さらに急落する可能性があります。
商品相場は、先月のピークから概ね2割の調整。
これまで市場を支配した「コモディティ、ユーロ」ロング、「株とドル」ショートのアンワインドが急速に進んでいるようです。
来週早々に発表される日本の緊急経済対策を、市場は全く材料視していません。
振り返ってみると、戦後日本の政治に高い先見性があった時期はほとんどなく、全ては民間努力による経済成長が失政を覆い隠してきたように思います。
にもかかわらず、民間主導による成長促進を否定し、官僚主導による再分配機能を高めるのであれば、ジリ貧が待っているだけです。
日本株は、金曜日にトヨタが反発に転じたことで、目先の景況感悪化を織り込んだとの期待感があり、来週は短期的なリバウンドもありそうです。
とはいえ、上記のようなファンダメンタルズを考えると、反発が持続的なトレンドになることは期待薄。
日本株の上値を追いかけようなどと考える市場参加者は一人もいないのです。
長期的に見た場合、日本は一体何を売って世界の中で生き残っていくのか。
製造業はアジアの追い上げが急ですし、発展の基礎となる理科系の人材が強くなっているとは思えません。
観光には明らかに伸びる余地があります。
3年ほど前のデータですが、外国人観光客による観光収入は、日本は1.4兆円、GDP比で0.3%と世界平均1.5%やフランスの2%と比べて著しく低くなっています。
この部分が世界平均並になるだけで、GDP1%増が期待できます。
日本には独自の美意識やサブカルチャーがあり、実体験を望む人は増えるでしょう。
その他の内需はどうか。
そもそも人口が減るので、住宅に過大な期待は禁物。
休暇=罪悪という文化があり、最近は雇用の危機感と収入難から休まない若年層も多く、旅行・リゾート分野も無理。そもそもドライブは、今や高嶺の花。
家電は飽和状態。
介護、医療分野は数少ない成長分野ですが、投資マネーを活用して伸ばせるような積極的な仕組みがありません。
高齢化社会は、ただ全体が老いていく定めなのか。
それとも高齢者が望むサービスの充実により、成熟した安定度の高い社会を構築できるものなのか。
世界は日本が描く大きな構図を待ちくたびれてしまいました。
この記事が参考になりましたら BlogRankingに一票をお願いいたします。































































Comments
世界的な傾向ですが、、国家と企業が分離し始めて企業の肥大化・国際化に伴って、新興国を除いては国家全体の繁栄戦略が描きにくくになっているように思います。
日本の場合は高齢化と企業の巣立ちが両輪となって空洞化が加速しているんでしょうね。
最近、日本人だからといってあんまり親和感がなくなってきたような気がします(笑)。むしろ、自分と同じような感性・環境にいる外国人でもそれなりにシンパシーを得る機会が多いです。もう、国家でなく所属する組織単位でくくり始めたほうがよいような気がします。新興国だけは例外ですが。。
Posted by: Blue | August 09, 2008 07:34 PM
グローバルになりようもない国家と、グローバル化が促進する企業のギクシャクした関係は今後も強まりそうです。
一方貧困層同士が国を越えて連帯する動きも強まると思います。
グローバル企業VSグローバル貧困層というのが新時代の南北問題なのかもしれません。
グローバルなルールになった柔道に、日本人選手は対応しきれていないようです。
Posted by: akazukin | August 10, 2008 08:25 AM