« 混乱の米、漂流の日本 | Main | 債券市場はドルを嫌っている »

September 23, 2008

伊藤園優先株はお買い得なのか

日本最初で唯一の上場優先株、伊藤園第1種優先株式が上場されたのが昨年9月3日。
1年あまりが過ぎました。

優先株の初日終値は2795円。
普通株は2930円と、差は-4.6%。

現在(9/19終値)は優先株が1139円。
普通株1597円を28%も下回っています。

一体この差は何を意味しているのでしょうか。

伊藤園の場合、普通株の配当が38円、優先株は25%増し(切り上げ)で48円の予定です。

優先株は配当が多い代わりに議決権が無いので、これが価格差の要因のはず。

議決権の価値を算出するためには、まず配当可能利益から優先株への割り増し配当分を除いて平均PERを出し、そのPERと優先株のEPSを掛け合わせて優先株の議決権付き理論株価を出して、そこから実際の優先株の株価を引けば計算できるとされています。

実際にやってみます。

① 普通株の1株当たり利益(EPS)を計算

(前提条件)いずれも決算短信ベース

・2009年4月期の公表連結純利益:11,530百万円

・EPS計算上の普通株の株式数:89,191,083株

・優先株の株数:35,229,217株

以下、株価は9/19終値

(1) 優先株に割当てられる配当金相当額を取り分ける

 35,229,217株×10円=352,292,170円

(2) 優先配当分(1)を除いた予想純利益を計算する

 11,530,000,000円-352,292,170円=11,177,708千円

(3) 普通株・優先株共有の予想純利益(2)について、普通株・優先株共通のEPSを計算する

 11,177,708千円÷(89,191,083株+35,229,217株)=@89.8円

② 普通株の予想PERを計算する

普通株の終値1597円÷予想EPS@89.8円=17.8倍

③ 優先株の(普通株としての)理論株価を計算する

優先株の予想EPS(@89.8円+@10円)×17.8倍=1776円

④ 議決権の価値を計算する

優先株の普通株としての理論株価1776円-優先株の株価1139円=637円

したがって、議決権がないことによるディスカウントは637円、理論株価の35.3%となりました。

ググった結果によれば、議決権の価値は10%~20%という考え方が主流のようですし、直感的に言っても35%は議決権の価値として過大に思われます。

こうなった原因はいくつか考えられます。

・経営への信頼が薄れ、結果的に議決権の価値が高まっている。
・優先株の割り増し配当の実現性に疑問が生じている。

極端な仮説として、経営への信頼感が常に100%であれば、議決権は必要ないので、配当分だけ優先株の方が高く取引されるはずです。
もしトヨタに普通株と優先株があれば、優先株を選ぶ人が多いのではないか、という意見もあります。

伊藤園は昨年度に下方修正していますし、今年度の1Q決算も、予想を大きく下回って純利益が前年同期の半分以下。

こうした不安感の蓄積が、株価の差に反映されているとの推測も出来ますが、何しろ事例が一つだけなので、誰もそれ以上判断できません。

単純に配当利回りを比較するなら、普通株2.4%に対して優先株4.2%。
優先配当の実現性を信じ、議決権に興味がないなら優先株がお勧めです。

但し圧倒的に流動性は低く、取引高は普通株の10分の1程度。
この流動性の低さが機関の買いを呼べず、割安を生んでいる主因かもしれません。

株価の差が大きいのは、今の市場に個人マネーが少ないからだと判断するのは、今の市場実態からして、ある程度正しいような気がします。

この記事が参考になりましたら BlogRankingに一票をお願いいたします。

|

« 混乱の米、漂流の日本 | Main | 債券市場はドルを嫌っている »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 混乱の米、漂流の日本 | Main | 債券市場はドルを嫌っている »