ポンドが消える日は来るのか
ポンドの下げが加速しています。
19日、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは今期最終赤字が280億ポンド(約3兆7000億円)と発表。
英政府の金融対策は合計1兆ポンド(120兆円)に達するのでは、との見通しも語られています。
不良債権を次々と引き受け、劣化していくポンド。
ポンドの対円最安値は95年の133円台ですが、今日は一時122円台まで下落。
2007年のピーク248円と比較すると半分以下になりました。
相場の世界ではよく「新高値で買い、新安値で売り」と言いますが、今のポンドは正に「新安値で売り浴びせ」の状態と言えそうです。
金融王国シティが崩壊したとするなら、イギリスは何を世界に売って生きていくのか。
次第に枯れ行く北海油田と心中するのか、さもなくば誇りを捨ててユーロと統合するのか。
数年前まで1.5前後だったポンド/ユーロは1.08近辺。
今の状況なら価値の逆転もありそうです。
大英帝国が、ポルトガル、スロバキア、スロベニアなどを含んだ欧州平均値を下回るとすれば屈辱です。
JETROのHPによれば、2007年のイギリスの貿易収支は877億ポンドの赤字。
当時のレートで19兆円。
外貨準備は489億ドル。
たった5兆円。(中国は180兆円)
直接投資が16兆円あるのでバランスしていましたが、今や投資環境は激変しています。
ちなみに日英貿易は、日本が2兆円輸出し、イギリスから8000億円買っているくらいの関係で、日本が買っているのは主に車と医薬品です。
かつての「世界の工場」も、今やさほど売るものが無いので、ポンド安による輸出促進効果は限定的です。
同じ金融崩壊でもドルが持ち堪えているのは、「ドルを売ったとして一体何を買うのか」に悩むからですが、ポンドの場合はドルとユーロという「買い対象」があるので、ショートポジションは格段に作りやすい面があります。
19世紀の基軸通貨が消えてなくなる日さえ、市場は織り込もうとしているのかもしれません。
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