続:ヘリコプター・ベンは正しいのか
FRBは長期米国債3000億ドルの他に、モーゲージ担保証券(MBS)を最大7500億ドル、政府機関債を最大1000億ドル追加購入することを決定しました。
通貨の番人であるFRBが、自らのバランスシートを一段と拡大することを決定(the Committee decided today to increase the size of the Federal Reserve’s balance sheet further by purchasing ...)と、臆面も無く言い切る神経は、正に何でもあり、の開き直りです。
一方我が日銀は、自ら「日銀券ルール」を課し、無節操な国債買い切りを戒めています。
新聞報道によると、FRBの国債購入額は月4.8兆円、BOEが3.4兆円、日銀が1.8兆円。
日本人は慎重で真面目です。
但し、世の中は真面目な人が必ず報われるというほど単純ではありませんし、通貨や金融の問題も、節操がある方が有利になるとは決まってはいません。
先日スイスが自国通貨売りで介入した際、多くの識者は、各国が通貨安競争となることを恐れました。
今回のFRBの決定は、直接為替相場に言及はしていないものの、要するに通貨ばら撒きによるドル安政策。
借金大国アメリカは、インフレで世界中の物価が上がっても、自分たちは海外からの負債が減る効果で相殺されます。
いまだに基軸通貨ですから、いくら価値が毀損しても全く使わないわけにはいきませんし、既に大量に保有している日本や中国は、貯金を人質に取られているようなもので、いくら価値が下がっても売るに売れない状態。
日銀が「真面目」に通貨供給量を抑制する立場を取れば、アメリカとの相対的な関係においてデフレ寄りとなり、円高を招きやすくなります。
現実の世界では、アリがキリギリスより良い生活が出来るという保証はありません。
むしろ、節操も無く借金と踏み倒しを繰り返し、取り立てに行くと開き直って腕力勝負に持ち込もうとする連中が、案外とイージーな人生を送ったりするものです。
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