機械に負ける日本人
先進国の製品供給は、分断された大量の非富裕層向けの廉価品が主流になり、低価格競争は激化しています。
旧型プリウスはインサイトと同じ189万円、g.uのジーンズは990円、ヨーカ堂は2600品目を最大30%値下げ、弁当やラーメンは300円以下が激戦模様。
先月のビール類出荷データによれば、ビールは前年比23%減、第三のビールが47%増。
発泡酒でさえ拝めるのは月に一度、「本物のビール」は誕生日だけというサラリーマン層も増えていることと推測されます。
一方、こうした製品の原価である資源価格は、ここまで大胆には下がりません。
資源は金融商品化され、中国のような「お金持ち」が優先的に確保するからです。
資源高止まりと製品価格デフレ。
間に挟まれた「モノづくり教信者」たちの苦悩が深まることは大分前から予想されていましたが、国家としては無策でした。
日本は技術信仰の国ですから、機械化・自動化に反対する人がいません。
オートメーション化は生産性を高めるので、結果的に人間の労働単価を切り下げ、貧困を増やします。
官庁が雇う非正規社員は、予算管理上「物件費」として計上され、人件費枠から除外されています。
働く人間の尊厳を取り戻すには、自らの価値向上が不可欠ですが、教育予算は増えません。
移民に出来る介護を、わざわざロボットにやらせようとして膨大な研究開発費を費やすことを、誰も不思議に思わない不思議の国ニッポン。
機械への投資を惜しまず、人間への投資を惜しむ国になっているとしたら、機械の方が幸福になれるでしょう。
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Comments
人間の幸せなんて些細なものです。
仕事があって家族がいて、晩酌できるぐらいの余裕があって幸せに生涯を過ごせた事が日本の良さであり、民政安定の上重要なファクターだったと思います。
機械化がこの幸せを妨げることに気づかなかったのか?
はたまた気づいていたのに、走り続けてしまったのか。
私はうっすら気づいていたのに、走り続けてしまったのだと思います。
真面目で技術至上主義の国民性が機械化を推し進めた結果、仕事が無くなったという結末は、外国人からみればコミカルにしか映らないでしょうね。
Posted by: anemone fish | March 25, 2009 11:40 PM
タイミング良くhttp://mainichi.jp/life/today/news/20090326ddm008020110000c.html
といった記事が今日出ていますが、大変滑稽な考え方だと思います。
ロボットに介護されることが幸せでしょうか。
どうして介護分野が人材不足なのかを、まずは考えるべきでしょう。
多分我々は、機械からモノを買うことに慣れすぎて、サービスも機械から買うものだと考えてしまっています。
Posted by: akazukin | March 26, 2009 09:02 AM
確かに、上の世代が努力した結果が機械にしか反映されていないように思えるのは、さみしいですし、シニカルになっちゃいますよね。
とはいえ、我々の世代の強みはその機械だと思っています。まだ技術的に世界に先行していると思いますし、実際ファナックなどが日経平均を押し上げていますので。
介護分野については、国策に期待ですね。
Posted by: ゼン | March 27, 2009 12:35 AM
何を機械でやり、何を人間がするのか。
これは結構、哲学的な問題なのかもしれません。
要するにバランスだと思いますが、生産性の向上をすればするほど、それに付いて行けない人が増えるので、敗者をどうするのか、という政治的な課題は複雑になります。
Posted by: akazukin | March 27, 2009 08:47 AM