自ら老衰へと歩む日本人
日本経済のピークを株価で判断するなら、それは1989年。
以降20年、衰える民間活力を財政の力で補うべく、国債に頼り続けました。
国債の財源は将来の税金です。
次世代から借金する以上、次世代にまで継続する経済効果がなければ国は衰退します。
その意味で、全ての公共事業は、子供たちにその恩恵が残るかどうかの検証が必要ですが、国会は老人層の代弁者に成り下がり、そのチェック機能は働きません。
先進国では、コモディティ的な労働の価値は低く、資本パワーが国民を二分していることは確かです。
疲弊する日本の農業と地方経済、都会ではワーキングプワーや自殺者が増加。
こうした分断の修復役を担うのが公的部門の役割のはずですが、民間リスクマネーが細る中で、公的資金の存在感が増大し、公的マネー自身が巨大な資本パワーと化して、分断を増幅している面も感じられます。
公共事業というマネーに「依存する」建築土木業界、地方の既得権益層、公務員に限らず広い意味で税金で暮らす者たちなど、そのフローに「近い」者たちが恩恵を受ける一方、民間製造業の非正規労働者など「遠い」者たちは非常に苦しみます。
大学院を出ても、農業に取り組んでも年収300万円なのに、公務員を夫婦で退職すれば年金年額600万円。
低金利で吸い上げた資金を、効用の低いマイナス成長部門に投下していれば、いずれ国富は減少し、国はじわじわと老衰に向かいます。
税金による資金フローは、不景気になればなるほど安定して魅力的。
不公平だとわかってはいても、一旦その傘に入った者にとっては雨の中に出たくありません。
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Comments
いつも読ませていただいております。
ありがとうございます。
本日の日記は全く同感です。
Posted by: 風来万吉 | March 05, 2009 12:59 AM
地方自治体では団塊世代の退職金に退職手当債を発行して、彼らの老後を支えます。
まさに先日のエントリー「原資なき配分の果て」であり、退職手当債は建設国債に比べ、モノも残らず景気浮揚効果もなく、もっとも悪質です。
総務相が「世論に問う!」と息巻く事は、次世代へツケ回す財政施策が先ではないでしょうか。
Posted by: anemone fish | March 05, 2009 08:13 AM
風来万吉さん、anemone fish さん、いつもありがとうございます。
民間企業では退職給与引当金の計上が当たり前ですが、こうした備えがなく、そもそも一体いくら必要なのかさえ納税者に十分開示されていない現状は、大変問題だと思います。
限られた資金をいかに効果的に使うか。
国民一人ひとりが真剣に悩んでいるときに、政府は一体どれだけ議論したのか、という疑問が定額給付金へのアレルギーとなっているのではないでしょうか。
もちろん、くれるモノはもらいます。
「世論に問う」なら、早く選挙をするのが王道かと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by: akazukin | March 05, 2009 08:41 AM
石が流れて木の葉が沈む、あのバフェットでさえ、オブション取引にのめりこんだ失敗を必死に弁護する世の中。世界経済はギャンブラー共の修羅場と化している。庶民の生き残る余地は少ない。
Posted by: 給付金を渇望する庶民 | March 05, 2009 09:02 PM