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April 21, 2009

矛盾をはらむ年金試算

先週15日に厚労省が新たな年金試算を公表しました。

この目的は、今年2月の試算が国民年金の納付率80%という「理想的な」数字を前提にしており、民主党が現状の納付率65%での「現実的な」数字を要求したためです。

新たな試算では、給付水準が49%と、現役世代収入の半分という目標を満たせないことが判明しました。

さらには、現在の運用利回りの前提は年平均4.1%。
これは2007年に「上方修正」されています。

4.1%は、過去20年間ほどの実績から将来の実質長期金利を2.7%と見込み、それに物価上昇率1%を加えて名目長期金利を3.7%とし、さらには株式投資による追加収益0.4%を加えたものです。

長期金利を期待成長率と考えれば、まず2.7%が無理で、デフレ脱却もできないのに物価上昇率1%も厳しい。

以前考察したように、日本では長期株式投資は元本割れ、国債への投資が最高利回りの運用となっています。

仮に4.1%を足元の長期金利である1.5%に置き直すと、20年間での運用結果は4割減り、期待できる年金受取額は現役世代の3割になります。
この辺りが本来の国民年金の実力と考えれば、未納率が高いのも当然です。

ちなみに厚労省が前提とするGDP成長率は名目で2%と、想定運用利回りの半分。

今我々が直面する2009年の現実は、日銀のGDP予想が-2%、政府予想が-3%で、長期金利が1.5%。

あまりに低いように見える長期金利ですが、実力がマイナス成長の国としては十分に高いのかもしれません。

過去においても日本の実力はマイナス成長で、円安で嵩上げされていただけ。
名目では低くみえる国債金利が、実効金利としては大変高い水準であったのだと考えると、色々な現象が説明しやすくなります。

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