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May 24, 2009

格付け会社の改革はどうなった?

ムーディーズは先週18日、日本国債(JGB)を1段階格上げしてAa2にしましたが、多くの人が「わけがわからん」というコメントを出し、市場は無反応です。

今回の格上げの理由として彼らが挙げているのは、

(1)家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多い
(2)金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られる
(3)2007―08年の大量償還を順調に乗り越えるなど国債管理政策が適正に実行されている

これらは普通に新聞読んでいる中学生でも、「???」であり、どれ一つ納得できるものではありません。

そもそも高齢化で貯蓄率は減少傾向にあり、若年層には貯蓄ゼロ世帯も増加しています。

株を持ち合っている金融機関の損失は大きく、予想以上のGDPの落ち込みで今後の税収には不安があり、プライマリーバランスに関する目標は完全に吹っ飛びました。

ムーディーズのHPによれば、

従来の格付けは、日本が自国通貨建て債務よりも、外貨建て債務の履行を優先するであろうとの見方に基づいていた。
しかし、最近の世界的な金融危機の中で、さまざまな政府の支払いの優先順位を予測することは極めて困難であるとの観察結果を得た。
そのため、ムーディーズは、日本のさまざまな債務の格付けを、全体としての信用力を反映したAa2 に統一することに決定した。

今回ムーディーズは、日本の外貨建て債務格付けを「Aaa」から2段階下げ、JGBを1段階上げて同じ格付けにしました。 つまり、見直しの最大の理由は、今まで3ノッチ差があった、外貨建債務とJGBを同じ位置付けにするためにJGBを一つ上げる必要があった、ということのようで、そのための理由を無理矢理こじつけたようにさえ思われます。

穿った見方としては、アメリカ国債を引き下げるわけに行かないので代わりにJGBを上げた、という説もありますが、だとしたら自ら格付けの信頼性を崩壊させているのと一緒です。

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