不動産、交錯する思惑
海外メディアにおいては、不動産関連の記事が少し増えているように思います。
バーゲンハンターの動きが目立ってきたからでしょう。
FTの5日付け。
「Saudi fund eyes $1bn UK real estate deal」
サウジ王室が出資するファンド「ジャドワ」が、1000億円規模の予算で英米の不動産投資を狙っているという内容です。
ジャドワのチーフエコノミストは、「為替と不動産価格が魅力的で、歴史的な繋がりがある場所(a favourable exchange rate, attractive asset prices and a historical connection)に投資したい」と語っています。
WSJには、「London Office Deals Pick Up」
ドイツのユニオン・インベストメント・リアルエステートがシティ(ロンドン)の7310坪のビルを約210億円で取得したという内容です。
最近ロンドンに行った人から私が聞いた話では、価格は下がり続けているが、(左図のように)取引は増えている、といった状況のようです。
同じくWSJの8日付け記事。
「Vornado Makes a Big Bet on Distressed Properties」
アメリカ最大手のリートの一つであるボルナドが10億$を調達してディストレスト不動産投資のプライベート・エクィティの運営に乗り出すという内容。
私見ですが、不動産市場はまだ不安定です。
アメリカでは住宅価格が下げ止まらないためプライムローンにまで延滞が広がり、商業用不動産市場では依然としてCMBSの懸念もあります。
中国の不動産は好調ですが、過剰な融資姿勢にサポートされた典型的プチバブル状態です。
日本ではオフィス賃料の下落がこれから本格化しますが、不動産銘柄への織り込まれ方は不十分かもしれません。
一体どういう業種が反発を牽引するのか、具体名は難しいところです。
住宅に関しても賃料に下落圧力がありますが、こちらは元々がそれほど上がっていないので、下降線は穏やかなトレンドになり、下げ幅も限定的でしょう。
但し、金融業界が冴えないだけに、高額価格帯の調整は長引きそうです。
ロンドンと同じように、価格が下がって取引きが活発なのは、中古住宅市場です。
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