民主党へ円高の洗礼
石破農水相曰く、「自民政治への失望感に尽きる」。
麻生太郎は、いまだに小泉改革が不評を買ったと総括しているようですが、もしも4年間郵政民営化を全うしていたなら、国民は文句を言えませんでした。
選挙もせずに勝手に有権者の選択と違うことをするので、遠慮なく鉄槌を食らわしたのです。
自民党は、改革を中途半端にしたことで、自分が底辺にいると思っている人々から支持を失い、同じ理由で富裕層からも見放される結果となりました。
弱者は民主党からの「お恵み」を期待しているでしょうが、今日の記者会見で鳩山代表は、「友愛とは、ただ恵むことではなく、自立する者を支援することだ」と、早速「けん制」しています。
株式市場はご祝儀買いで始まりましたが、円高で帳消し。
これは、今後もし民主党が財政赤字を拡大すれば長期金利上昇でこうなるぞ、という為替市場からの警告です。
誰が政権を取ろうが、日本の目の前にあるのは人口減少と高齢化による需要減。
自民党は成長の分配ノウハウのみで生き続けたが故に、昨日一旦終わりました。
民主党は逆に、日本の衰退を栄養源として大きくなりましたが、それ故、常に「貧者の期待」に向かい合わねばならないという宿命を背負っています。
但し、もはや資金はありません。
二大政党制では頻繁に政権交代が起こり、政治家は使い捨てにされます。
有権者は小泉純一郎を使って自民党の派閥をぶっ壊し、今度は小沢チルドレンを使って世代交代に邪魔な老害の多くを排除しました。
政界は国民生活の鏡であり、我々のサバイバル競争も楽にはなりません。
こども手当てのために公共事業を削れば建設業が悲鳴をあげ、企業に負担を求めれば雇用は海外へ逃げ、公務員を減らせば潰しの利かない失業者が増えます。
今回の政権交代は、民主党をある種の「救い」と有権者が考えた結果ですが、日本を取り巻く状況は甘えを許しません。
友愛という名のレンガで敷き詰められているのは、自立への道です。
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Comments
>選挙もせずに勝手に有権者の選択と違うことをするので、遠慮なく鉄槌を食らわしたのです。
小泉チルドレンが軒並み苦戦・落選したのはどう分析されますか?
派閥をぶっ壊したので用済みということですか?
※毎回簡潔で的確な文章が参考になります
Posted by: なべ | August 31, 2009 11:06 PM
表面的に見れば小泉改革への支持が失われたから、ということですが、世界の変化が激しいので政治家の賞味期限が短くなっているということだと思います。
本当の意味で変化に対応できるか、変化にぶれない「芯」を持っているか。
どちらかで無い限り、政治家は使い捨てられる傾向が強くなっていくように思います。
Posted by: akazukin | September 01, 2009 06:53 AM
>本当の意味で変化に対応できるか、変化にぶれない「芯」を持っているか。
一歩間違うとポピュリズムかナショナリズムのいずれかということですかね
Posted by: なべ | September 01, 2009 08:13 PM
その通りです。
ドイツでは民主主義的手続きによりヒトラーが選ばれ、日本では憲政の常道と言われた二大政党政治の失望が軍部の独走を許すこととなりました。
Posted by: akazukin | September 01, 2009 10:18 PM