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September 17, 2009

なぜ貧困ビジネスが儲かるのか

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「金持ちから儲けるのは大変なんだよ。
貧乏人から儲けるほうが楽なんだよ。
国庫の援助で儲けようじゃない。
貧乏な人の方が金に付いては雑なんだよ。
助成金を調べろ。」


これは有名な写真の人の言葉ですから、確かな説得力があります。

普通の企業は裕福な層から評価される商品の開発に注力します。
価値を認められさえすれば、富裕層は利益率の高い商品を繰り返し買ってくれるからです。

富裕層は価値の低い商品を買いません。
彼らは多くの情報と厳しい観察眼を持ち、十分に吟味する時間も持っています。

一方貧乏人は、選択肢が少なく、自分たちに用意された数少ない商品からしか選ぶことが出来ません。
特に不動産賃貸など、多くの場合保証人や一時的にまとまった資金が要求される場合は、一層その選択肢は限られてしまいます。

選択肢が少ないと考える気力は失せ、むしろここで選ばないと次は無いかもしれない、という切迫した気分になり、そこにスキが出来ます。

貧乏であるが故に金に雑になるという心理は、モテナイが故に太ってさらにモテナクなる、のと似ていて、意欲の欠如がアリ地獄への重力となります。

こうした切迫した心理を利用した貧困ビジネスの広がりは法律で禁止したいところですが、そもそもまず、貧困ビジネスとは何かを定義することが難しそうです。

貧困ビジネスの提供者が、なぜ強引な商売が出来るかというと、そこに参入者が少ないから。

いわゆるゼロゼロ物件などの報道を見ると、違法ずくめの手法でも入居希望は引きもきらず。 

SFCGも、銀行がやりたがらない中小企業への事業者金融市場で独占的な地位を占めたことで、いわば「やりたい放題」になりました。

消費者金融の歴史を振り返ってみると、かつて武富士の独壇場だった時代は、強引な取立てなどでトラブルが続出していましたが、それに比べて今は多くの企業が競っており、結果として市場は近代化され、法整備によって債務者は「過払い利息の返還」など一定の保護も受けられるようになりました。

悪質な貧困ビジネスを撲滅させるには、そのような「おいしい市場」になぜ参入者が少ないかを、分析してみる必要がありそうです。

リスクの高いビジネスや貧乏人相手の格好悪い商売には「大手資本のマトモな企業」は参入しない、即ち「多少ダーティな連中」がやる分野、と決め付けたがる日本の風土があるとすれば、そうした暗黙の差別観こそが、格差を固定化する心理的な壁となっているのかもしれません。

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Comments

貧すれば鈍するという言葉を思い出しました。

豊すれば英するならば、、格差拡大は原理に近い

ものかもしれません。

だからこそ、貧してはいけないと強く思います。

Posted by: Blue | September 18, 2009 12:02 AM

金は貪欲さの象徴ですが、寛大さの根源でもあります。
精神的に貧さないために財政的な安定が必要なのは、家庭も国家も一緒でしょう。
寛容さや思いやりが失われ、日本人が精神的に貧困になったとすれば、その原因の多くは、経済的な困窮と、それに伴う将来不安から生じているのかもしれません。

Posted by: akazukin | September 18, 2009 08:28 AM

ビジネスの対象としてもらえるからこそ彼らもプライドを持って生きていけるのです。

契約とは双方の意思の合致。
つまりは貧困層も自分の意思で行動をする自由を持っているのです。そして、それこそが人間として扱われているということなのです。

富裕層より限定されているとは言っても、選べるということは人間の尊厳にとってとても大切なことですよ。

Posted by: とおりがかり | September 23, 2009 11:20 AM

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