資本は衆愚主義を嫌う
金融危機の後始末に大量のドルが発行された結果、金融市場がいち早く回復はしたものの、雇用増加を通じて個人へ恩恵が及ぶのは、まだ先。
個人の生活は置き去りに、金融市場は強欲さを取り戻しました。
オバマ政権は何とか民主主義的な方法によって金融の再暴走を食い止め、医療保険制度を改善しようと努力していますが、既得権益勢力の抵抗も強力です。
カリスマ性を持ったオバマでも挫折するなら、アメリカの低所得者層は絶望して暴力的な手段に訴えるか、意欲を完全に失って再びブッシュ的な指導者の誕生を許してしまうかもしれません。
片や中国では、人権抑制という問題はあるものの、共産党が「非民主主義的」に素早く決断しています。
日米は大きな政府による社会主義的な傾向を強め、一方の中国は次第に私有権を認め、農民の「耕作権」の売買も始まるなど市場経済を強化。
両者の溝が狭くなる中で、いまだに中国を、共産党独裁とか社会主義国家だと語るだけの人は、その本質を見誤りそうです。
中国共産党員は7600万人もいますし、今では私営企業の経営者も入党しています。
明治時代の日本のように、一部の者だけが選挙権を持っていた時代と似ているのかもしれません。
世界経済は明らかに中国への依存度を強めていますし、共産党が経済運営に成功するなら、資本主義の上に君臨するのは、民主主義よりも、むしろ中国共産党的なエリート集団の方がふさわしいのではないか。
そんな意識が広まれば、ロシアのように、世界のあちらこちらで「実行力ある」独裁政権が増えてしまうかもしれません。
自分の事しか考えない人が増えて民主主義が堕落すれば、資本はもっとマトモな「ご主人様」を望むでしょう。
資本主義と民主主義がベストカップリングと決まっているわけではないようです。
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