ピコラエヴィッチ紙幣
第2回城山三郎経済小説大賞を受賞したピコラエヴィッチ紙幣―日本人が発行したルーブル札の謎は、経済小説というよりも冒険小説的な味わいです。
歴史のピースを基に物語を膨らませていくという手法は、例えば佐々木譲氏の「ベルリン飛行指令」などが秀逸ですが、こうしたジャンルがお気に入りの方にはピッタリ嵌ると思われます。
冒険小説には欠かせない、お約束のロマンスもあります。
ロシア革命に激動するシベリアの港町、そこで強(したた)かに商売する日本人、権力や通貨の本質。
1920年にシベリアのニコライエフスクで起こった尼港事件をモチーフに、そこで事業を展開する島田商会が発行された紙幣にまつわる人間模様を織り込みながら、週末のひと時にふさわしい知的エンターテイメントの世界が構築されます。
さほど期待はしていなかったのですが、なかなかの掘り出し物ですので、お勧めします。
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