なぜ「AKB48」は世界を目指すのか
名曲「大声ダイヤモンド」「会いたかった」などを引っさげて世界進出を目指すAKB48。
「AKB48」という無機質なグループ名自体、これが単なるアイドルではなく、グローバルに通用するシステムであろうとするコンセプトを示しています。
「AKB48」の原型である「おニャン子クラブ」が、日本人だけにローカル受けするネーミングだったのとは対象的。
80年代はビッグな国内市場だけを見据えていれば良い時代でした。
「毎日、劇場で公演し、いつでも会える」
「数十人の女の子が複数のユニットに所属し、やがて卒業していく」リアルサバイバルゲーム。
こうしたアイデアや運営ノウハウのパッケージ商品を、業界では「フォーマット」と呼んでいます。
これまで日本では、海外で人気の「フォーマット」を輸入して国内販売することが、TV業界における成功への近道でした。
「クイズミリオネア」がその典型。
一方日本からは「料理の鉄人」「しあわせ家族計画」などが「輸出」され、プチサクセスをしました。
近年、国内市場は縮小し、円高が進んで輸出条件が厳しくなり、為替レートの変動に負けないためには、グローバルなエンターテイメント市場の中で競争力あるコンテンツであることが求められます。
AKB48は、今後NYやパリなど世界の主要都市にNYC48などの支部を作り、最終的にはワールド48の選抜を目指しています。
国内では東海地方に「SKE48」が出来ています。
基本フォーマットをローカライズしていく考え方は、日本の自動車メーカーが左ハンドル車を作ったり、現地の規制に対応した排ガス対応をするようなもので、日本人が得意な分野です。
韓国では「ゲーム産業振興院」という官庁やゲームの経済特区まであり、また韓流ドラマはその儒教的な価値観がイスラム的な倫理感と相性が良いことで、マレーシアやインドネシアなどへの輸出も伸びています。
AKB48の最大のライバルと目される韓国の「少女時代」は、メンバー9名のうち4人が中国語を話すという戦略性も備えています。
先進国の輸出品目は、中国に勝てそうもない製造業から、コンテンツ産業に中心が移ろうとしていますが、政府が後押しする韓国に比べ、日本ではお台場の「国営マンガ喫茶」レベルの議論にとどまり、世界市場を見つめたチャレンジは、トレンドを読む天才「秋元康」の孤軍奮闘といった状態です。
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