暴力を輸出するアフリカ
先日、トーゴのサッカー選手がアンゴラで武装勢力に襲われた事件は、今年のW杯が南アフリカで開催されることから日本でも大きく報道され、あらためてアフリカの情勢に不安が走りました。
「ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄」は、毎日新聞のヨハネスブルグ特派員だった白戸圭一氏の「渾身」のドキュメンタリーです。
南ア、ナイジェリア、コンゴ、スーダン、ソマリアに各一章が割かれていますが、時には密入国も辞さない体当たりの記事は大変読み応えがあります。
超格差の南ア、犯罪人大国ナイジェリア、資源収奪のコンゴ、独裁のスーダン、無政府のソマリア。
共通するのは、貧困と暴力。
混乱が続くアフリカでは、治安=強権政治であり、生み出される不満と貧困は、先進国がバラ撒いた兵器と結びついて暴力がはびこります。
こうした連鎖は絶えることなく、本書を読んでもこの資源大陸に希望が広がる兆しは感じられません。
「関わりたくない」という先進国をよそに、資源を求めて中国が進出。
資源と圧制を結びつける触媒となっています。
貧困はイスラム原理主義のような非民主的な勢力に利用され、暴力は生きるために正当化されます。
先進国が旨い部分だけを食い散らかしたアフリカ大陸。
その怨念に培養された暴力は、ソマリアの海賊に象徴されるように、着実に我々の近くに忍び寄ります。
六本木で捕まる外国人の多くはナイジェリア人です。
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