2010年は雇用の危機
ダボス会議の議長であるクラウス・シュワブ氏は、「2008年は金融危機、2009年は経済危機、2010年は社会の危機」と語っています。
さすがに巧いこと言いますが、社会の危機をもう少し噛み砕くと、「雇用の危機」だと私は思います。
米国の雇用は改善傾向ではあるものの、その勢いは弱く、腰折れの危険があることを否定できません。
日本では既存正社員の保護が優先される結果、これから社会に入る学生や、リストラで一旦職を離れた人がチャンスに恵まれません。
欧州も歴史的に労働者の権利が強く、若年層の失業が深刻。
ILOによれば、昨年末時点での25歳以下の失業率は、日本が8.4%に対し、欧州は「21%」。
中国では大学生の就職難が深刻。
急速な経済発展は固定資産投資による供給サイドが主体であり、知識が必要なソフトパワーは遅れています。
鉄ばっかり作るけれど、権利を守る社会制度は未熟で、何でも中間省略した「乱暴な発展プロセス」と言えます。
共産主義思想は失業を無くすために生まれましたが、結果は悲惨でした。
そもそも第二次産業が高度化して生産性が向上すると、仕事の量は人の数ほど生まれないというジレンマがあります。
モノづくりの延長線上だけで考えていては、雇用がない社会になりかねません。
特に日本の場合は、工場の機械化で無人化を進め、街中(まちじゅう)を自動販売機で埋め尽くし、介護ロボットを開発し、それで人間は一体何をする役割が期待されているのでしょうか。
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