貧すれば分かれる
最近の新党ブームの背景は、政局の流動化というよりは、やはり「多極化」と表現するのがふさわしいように思います。
日本における政治改革は長く、「政権交代可能な二大政党」が目的とされていましたが、いざ実現してみると、世界は米ロの二大国家体制から新興国の台頭による多極化に移行しており、「二極」では不足でした。
多党化というと、イタリアが思い浮かびますが、イタリアも1993年までは、中道右派のキリスト教民主党(DC)と左派のイタリア共産党(PCI)の二大政党を軸に、中道右派連立政権が優位な政治が展開されてきました。
自民党と社会党が競っていた時代の日本と似ています。
それが冷戦終結から数年経った94年の総選挙以降、DCとPCIは分裂し、小党乱立時代に入ります。
ちなみに94年のイタリア財政は、単年度赤字がGDPの9%、累積では同124%と、日本と似たような悲惨な状況でした。
財政赤字の危機感や世界の多極化が国内の権益構造を分裂させるため、既存政党に亀裂が走るというメカニズムが働いているのかもしれません。
ちなみにイタリアはその後、EUの厳しいルールへ合わせる必要もあって財政再建が進み、今の日本よりはマシな状態になりました。
太く大きいお金の流れが国民を養ってくれる時代が終わり、人々はどこに行ったら食わせてくれるのか右往左往し、政党が増えます。
行き着くところは、増税と緊縮財政、観光収入頼み。
日本が10年後、今のイタリア程度に着地することも、容易な道ではありません。
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