新興国通貨はなぜ暴落したのか
世界的な資産圧縮の動きが、よりレバレッジの高い新興国市場に顕著に現れた、といって良いかと思われます。
17日付けのFTの記事、「Hedge funds hit by May volatility」によれば、著名ファンドの多くが赤字で、いくつかのヘッジファンドは今年の利益を全て吐き出したとあり、状況はその後の1週間で、さらに悪化しているはずです。
ロサンゼルスを拠点とするコモンウェルス・オポチュニティー・キャピタルのCEOアダム・フィッシャーは、WSJのインタビューに対し、「新興国市場は、先進国市場にレバレッジをかけただけのものにすぎない」とも語っています。
短期間で10%以上調整した豪ドル円。
さらなる大幅調整も有り得ると考えておく必要があります。
ちなみに豪ドル円が60円を割ったのは、過去15年で2回。
最初は2000~2001年。
ITバブル崩壊から9.11事件にかけての暗い時代です。
但し、この頃の原油価格は20$台ですから、資源価格のファンダメンタルは大分違います。
2回目は言うまでも無くリーマンショック後の激しい信用収縮による、2008年秋から翌年第一四半期にかけて。
この時、原油価格の最安値は、31$台でした。
なお、昨年7月にWTIが60$を切った時、豪ドル円は今回の安値とほぼ同じ72円近辺。
現在WTIは70$ですから、今の円高は、さらなる原油安まで織り込んだレベルとも言えます。
そもそもソブリンリスクで通貨不信が起こればコモディティへの資金移動が起こり、結果として資源通貨を下支えするというロジックがある以上、過剰なレバレッジが解消されれば、資源通貨の底値はさほど時間をかけずに見えてくるものと考えられます。
無論、株式と商品市場の大調整「第二段」が来るなら、前提は崩れます。
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