判決その後、そして税負担
最高裁判決を受け、野田財務相は、二重課税となった所得税の返還について、2004年以前の「時効分」についても応じる考えを明らかにしました。
素早く、かつ潔い態度表明であり、素直に評価するべきだと思います。
一方で野田財務相は、「税制改革は自由主義より平等主義の視点で」と語っています。
私のような高額納税サラリーマンから見れば、いい加減にしてくれ、という感想です。
税制の再分配機能が低下していると認識しているようですが、国内のヒストリカルな分析だけではなく、国際比較による検討が必要です。
家族4名のモデルの場合、日本では収入が2380万円以上で最高税率50%(所得税40%、地方税10%)が適用されます。
(以下1$=90円、1ポンド=130円)
アメリカではNY州の場合で、年収3700万円以上で地方税込み48%の最高税率。
税率はほぼ同じですが、富裕層の定義がより高年収になっているのは我々が持つアメリカのイメージどおりです。
イギリスでは年収570万円までは20%、それ以上で40%(地方税なし)と、かなりフラットな税率。
年収5035ポンド(65万円)を超えれば、少ないながらも税負担が発生します。
仮に年収700万円では税負担が約150万円。
日本は年収700万円では様々な控除が大きく、税負担はおよそ50万円。
年収320万円以下は税負担ゼロ。
公的医療サービスの内容などが違うので単純比較は出来ませんが、日本は中所得者以下の負担は高くない国、イギリスは元来、所得が低くてもそれなりに負担はしてもらう国、と言われています。
選挙権を持ち、税金の使い方に物申す以上、所得は低くとも基本的納税の義務は負うというのが英国の考え方です。
日本では、所得の結果平等と公的サービスの均等な受益は別々にみなされていると思われます。
消費税率も低いので、国が貧しくなればなるほど、タダ乗り出来る者が多くなりやすいシステムであり、それが最近の国民的依存症候群の一つの原因ではないかと感じるようになりました。
さらに政治家がそちらばかりを向いて動けば、民主主義は期待通りに機能しないでしょう。
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