負の暖簾は実在するのか
アドバンスレジデンス投資法人(ADR)の負の暖簾に関する私の試算結果を載せておきます。
負の暖簾は利益剰余金であり、バランスシートの貸方に発生しますので、当然ながら受け入れた資産価格に連動します。
有り体にいえば、自分の保有資産を実力以上に高く評価したから発生しただけではないか、という批判が付き纏います。
ADRの全194物件の利回り(鑑定NCF÷取得価格)を計算してみると、5.5%。
鑑定ベースでは5.3%ですので、総平均で鑑定価格よりも強気の受入れ価格です。
具体的には、
赤坂檜町 4930Mで取得(鑑定4290M)
東銀座 5251M(4710M)
錦糸町 4200M(3690M)
などが、鑑定と取得価格の乖離が目立ちます。
全物件を、「都心、首都圏、地方(政令指定都市)」とグルーピングし、都心・首都圏6%、地方7%で、ざっくり計算し直すと、負の暖簾は現在より427億円少なくなり、実質ゼロになります。
これでは厳しすぎるだろうと、都心5.5%、首都圏6%、地方6.5%にすると、300億円くらい残ります。
このあたりは、今後のディールの目線を、どの辺りにおいているかで変わってきますが、現在の市場を依然保守的に見る立場からは、439億円は相当に過大であるという評価になります。
その逆に、どうせヴァーチャルな話だから目くじら立てず、安定的に今の配当水準を維持してもらえば十分という投資家もいるでしょう。
なお、負の暖簾が配当の安定化に寄与する点については無論ポジティブですが、実際に配当に充当する場合は、その行為自体が自己資本の毀損であり、LTVが悪化するというネガティブな側面も同時にあります。
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