国民は賢く、政治家は愚かになった
日本にも、一部の政治家が多数の大衆よりも先が見えていると信じられていた時代があったように思われます。
NHKスペシャルの「シリーズ日本と朝鮮半島 第5回 日韓関係はこうして築かれた」では、岸信介がパク・チョンヒ(朴正熙)大統領に、「国民感情に迎合したら駄目だ」と語っていました。
現代の日本においては、高度に情報武装した大衆が政治家を軽んじ、重要な決定権を与えないようにしています。
リスペクトされていないことを自覚する政治家は、世論調査に一喜一憂するようになり、結果的には多様化する価値観の中で自らの方向性を定めることが出来ず、時々の政局の波に翻弄されています。
意思決定の上部構造の空白は、官僚や知事、民間企業など下部構造によって埋められ、そこではグローバルな変化への対応が進められています。
グローバル企業は、海外法人へ利益を留保することで高い法人税をかわし、アジアの成長を取り込むべく構造改革を進めています。
総合商社は商品の取り次ぎ業から資源のインベストメントファンドへと変貌しました。
中小企業は、安くて「かわいい」製品を作り出し、国内で生活防衛に資すると同時に観光の目玉ともなっています。
戦略性の欠ける温室効果ガス削減策は、出来る限り有耶無耶にしてしまおうと、誰も本気で取り組もうとしません。
前原大臣は、秋以降、なし崩し的に羽田中心の航空政策を進めていく腹を括ったように見えます。
国全体が老化している以上、元気イッパイの未来が描けるわけはないものの、一人ひとりがもうちょっとだけ頑張って稼ぎが増えれば税収も増えます。
政治的圧力集団である高齢者軍団の痛みは避けつつ、官民一体で「イタリア程度」で止まることを目指すという暗黙の合意があるとしたら、まあこんなところが日本流社会主義の限界なのかもしれません。
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