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December 12, 2010

なぜジョブレスリカバリーなのか

Zリーマンショックの真っ只中、もしDOWが戻るとすればどこまでか、私は考えていました。

サブプライムローン絡みで発生した過剰な信用供与は、リスク資産価格を3割は嵩上げした。
従ってDOWは、最高値14000$の7割である10000$がせいぜい。
それ以上はもしかすると一生(?)無理かもしれない。

当時はそのくらい悲観して考えていましたが、既にDOWはその水準を1割以上超えていて、来年は今年よりましと皆言い始めています。

一方、雇用の回復は期待通り進んでいません。
仕事が無ければ家は買えないので、米国住宅市場の回復も極めてスローです。

企業業績の回復に比べて雇用の増加が遅いのには、幾つかの理由がありそうです。

まずは社会のオートメーションとIT化。
以前の景気後退期に比べ、未熟練労働者のニーズは激減しました。

機械が進歩しているので、人間も負けずに向上しないと仕事にありつけないのです。

さらに、安いだけの労働力は新興国にあります。
リーズナブルで質の良い人材も新興国に増えました。

かつて先進国に生まれたということの意味は、「幸運にも質の高い生活を苦労なく享受できる」でしたが、新興国が猛スピードで追いかけてくる現在では、「常により高い努力をしなければ生き残れない」に変わりました。

スポーツにおけるリーグ入れ替え戦のように、先進国の底辺と新興国のTOP層の交代は頻繁。
日本から中国へ働きに出る人が増え、私の家の周囲ではインド人が増えています。

加えて、企業は雇用に慎重です。
景気が振れやすいので固定費を増やせません。

危機の度に政府は流動性を供給します。

過剰流動性は市場をボラタイルにし、さらには短期間で利益を求めてレバレッジをかけるファンドの存在があり、浮き沈みの激しい経済を作り出しました。
為替の変動も投機的です。

過剰流動性は信用機能が麻痺しそうになった金融市場を救いましたが、同時に実体経済のボラティリティを高め、企業の採用マインドに悪影響を与え、長期間雇用の恩恵から遠ざかる人々を増やしてしまうネガティブな効果も生んでいます。

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