ああ言えば枝野
「これだけの災害ですから、私は自分自身、一定の負担は止むを得ないと考えていましたが、なぜ国民負担を回避するということを優先されたのですか」
「あなたは大新聞社から高い給料をもらっているかもしれませんが、大多数の国民は小泉改革で格差が広がり苦労しています。この未曾有の災害からの回復を促進するためには、弱小な個人である国民一人ひとりの負担は少ない方が良いに決まっています」
「では国民負担を少なくするために、誰がその分を負担するのですか」
「東京電力および機構に資金拠出する各電力会社の経営努力、さらには金融機関の債権放棄を期待します」
「金融機関の負担は、結局預金者の負担ですから、国民負担とあまり変わらないように思いますが」
「金融機関の負担は銀行の利益からされるので、直接預金者への負担にはなりません」
「債権放棄の前に、株主が先にまず負担するのが筋だと思いますが」
「株主には、年金代わりに保有していた高齢者もいます。既に株価は大きく下がり、配当も減り、市場ルールに沿った負担をしています。大手銀行は増益決算であり、負担する体力は十分にあると判断しています」
「株式を保有している高齢者は資産家であり、弱者とは思えませんが」
「確かに資産家もいるでしょうが、まずはリスクを負って融資した銀行が負担する方が先です」
「リスクを負っているのは株主も同じ、いやそれ以上です。官房長官は弁護士のはずですが、負担の順番は第一に株主で、次には優先債権を除いて抵当権の有無等でと、法律の定めによって決められているのではないですか」
「素人の癖に聞きかじりの法律論を述べないでいただきたい。あなたの言っているのは会社更生法等の適用時における債務処理のルールであり、今回のスキームは、既存の法律における債権の弁済順位に従ったものではありません」
「しかしながら融資債権を放棄するには、銀行としても法的な根拠が必要に決まっているではないですか」
「ですからそれは銀行団が現行の法律と会計のルールを元に、総合的な経営判断として実行されることを期待している訳です」
「言葉を並べて煙に巻かないでいただきたいのですが、それでは他の電力会社が東電の賠償を支援する法的な根拠は何ですか。結局は全国の電力料金が上がるだけではないですか」
「法的根拠は、これから作る新法によって明確になりますし、既に原発を保有している電力会社には将来の事故に対する保険といった意味合いもあり、拠出には合理性があるものと考えています。電力料金の値上げは極力回避されるよう、各電力会社の経営努力を促しつつ、厳重に監視いたします」
「結局のところ、事故の責任が曖昧なままに公的資金が追加されることになり、地域独占の既存電力会社体制も温存され、本質的な問題解決が先送りされませんか」
「被災者救済は待ったなしであり、政治的混乱による停滞は許されません。あなたがグチャグチャ言っている間にも被災者は救済を待っています。なお今回のスキームは既存の電力供給体制の維持を前提とするものではないので、その点は今後時間をかけた国民的議論を待ちたいと思います。」
「いや私が言っているのは、実態として現状が固定されてしまってですね...」
「時間です」
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Comments
実際に彼の発言か?と思ってしまうほど臨場感に溢れた喜劇のようなやり取りでした(笑)
資本市場のイロハも知らないはともかくグローバル時代に各処方箋が全体として各プレイヤーにどんな効果が見込めるかという想像力が乏しい気がします。一言で言えば「木を見て森を見ず」といった印象で民主党らしいなって思います。
実は今の日本が抱える最大の問題であろう「高度知識集約分野における人財不足」を彼の発言はいみじくも示唆しているように思います。
Posted by: blue | May 14, 2011 11:15 PM
目の前にある事態に対処することが優先し、将来を構想する力が欠けています。
とりわけ民主党は自民党に対するアンチテーゼとして過ごして来た時間が長いので、我々がどれだけ市場経済のルールから恩恵を受けているかの理解も欠けているようです。
政権発足から一貫して、想像力は貧困。
こういうことをしたら誰かがこう行動する、くらいは少し考えても、誰かがもう行動しなくなる、あるいは、次に動かせなくなるといった発展形までアドバイスする人材はいないのでしょう。
Posted by: akazukin | May 15, 2011 07:57 AM