中国社会はどこまで持続可能か
先週、中国で2010年国勢調査の結果が出ました。
調査員600万人が4億世帯を訪問する、10年に一度の大イベントです。
人口は増加ペースが前回(2000年)より鈍化したとはいえ、10年で7400万人増えて13億4千万人。
大きな特徴は高齢化で、60歳以上が13%と3%上昇。
一人っ子政策により、14歳以下人口は1990年の28%から16.6%に激減。
日本より10歳ほど低い平均寿命や年金制度の未成熟さなどを考えれば、既に日本と同様の介護問題が発生していることも頷けます。
現在ベストセラーになっている「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」では、景気の波を生産年齢人口の波で説明していますが、中国の生産年齢人口は2015年から減少に転じるとの予測もされています。
高齢化問題の深刻さが懸念される背景には、敬老を範とする儒教文化の衰えも関係しています。
宗教の反政府勢力化を嫌う共産党の締め付けによって、道徳やモラルは衰退。
自由な発言を禁じられた国民は不満の捌け口を経済に求め、「自由のある」拝金主義世界に追いやられています。
カネ儲けと日本への批判を自由特区とすることで、不満をかわそうとしたともいえます。
今月温家宝首相は粉ミルク汚染事件などを挙げ、「誠意の欠落、道徳の低下が深刻なところまで来ている」と嘆いていますが、その原因が中国共産党の根本的な性格によるという自己矛盾を、まさか自覚していないわけはないでしょう。
論語には、
国を有(たも)ち家を有つ者は、寡(すくな)きを患(うれ)えずして均(ひと)しからざるを患え、貧しきを患えずして安からざるを患う
(為政者や家長は、収入が少ないことを心配するのではなく、不平等を心配せよ。
貧しいことを心配するのではなく、安心して暮らせないことを心配せよ。)
という一節があります。
「共産」という看板を掲げた世界最大の格差国家は、豊かになる前に老いてしまう史上唯一の国となることを、真剣に心配する必要があります。
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