ASEAN首脳会談秘録
首相「大統領、オーストラリアに海兵隊配備、フィリピンでは国務長官が"当事国には相手国を威嚇する権利はない"と発言された。随分と好戦的な姿勢に驚いております」
大統領「長官には、お国のことを名指ししないよう配慮させました。是非ともお組み取りいただきたいところです」
「それは痛み入りますが、私の面子も考えていただきたい。このタイミングでの軍事的包囲網は到底承服できません。アジアのことはアジアで解決するのが道理です」
「お言葉ですが、我が国のフィリピンへの関与は1898年のパリ条約にまで遡ります。オーストラリアは英連邦であり、いわば親戚。ベトナムやインドネシアにも多大な投資を行っており、西太平洋海域全体での航行確保は合衆国の"核心的利益"とお考えいただきたい」
「南シナ海まで太平洋とは恐れ入りました。
我が国は清の時代、国内の混乱により欧米列強に蹂躙され、周辺の権益を損ないました。経済が復活した今、失った様々なものが取り戻されねばなりません」
「それは如何なものでしょう。今は帝国主義の時代ではありません。もしご主張があるならば、国連海洋法条約に則って紛争を解決することを強くお勧めします」
「我が国は依然として発展途上であり、緊張関係を望んではいません。こうした挑発的とも取られかねない行為は互いのためになりませんな」
「お国の健全な発展は世界の共通的な利益ですが、反面で軍事費は膨張し、空母も建設中。首相も人民解放軍の圧力にはご苦労されているのではないですか」
「国内に強硬派がいるのは事実ですが、あくまでも党の指導下に有ります。この地域にアメリカの軍事的プレゼンスが増すことは、彼らに有利に働くことにお気づきにならないわけではないでしょう。あまりお国による刺激が強いと、私も国内を抑えきれなくなるかもしれません」
「こちらからの刺激も挑発も、一切ないことをお約束します。力の均衡こそ平和の条件です。首相の努力には心から敬意を表します」
「そうおっしゃるのであれば、是非とも抑制的に行動していただきたい。我が国にも多くの友好国がいます」
「ミャンマー、カンボジアの両国が発言を遠慮したようですね。お国が資源を求めて多くの国と活発に取引されていることに異論を挟むものではありませんが、是非相互の利益を尊重された関係にご配慮いただきたい。今後とも、南シナ海での軍事的不均衡には強い関心をもって対応しますので、我が国の方針をご理解ください」
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