再びドイツは欧州に君臨するのか
EU首脳会議の結果、ユーロ共同債は実現せず、ドイツ流堅実主義に基づく新協定方針をイギリス以外が承認しました。
南欧の弱体化で独仏二強が突出し、イギリスの影響力も劇的に弱まりそうです。
ドイツは今年、ユーロ安の影響で輸出額が前年比で12%も増え、初めて1兆ユーロ(約104兆円)を突破する見通しとなり、大幅な貿易黒字が見込まれている。8月の時点で失業率は7・0%と、90年の東西ドイツ統一後最低にとどまり、経済は絶好調だ。(毎日新聞 2011年12月4日 東京朝刊)
こうした経済的利益を考慮すれば、ドイツは欧州全体へ貢献する義務があるでしょうが、ドイツは自分の信用を共有させるという切り札は拒否しました。
ドイツの信用を南欧に提供すれば、良貨と悪貨が入り混じり、欧州最後の拠り所さえ失われてしまう可能性がある。
哲学の国ドイツの視線は、目先の金融危機の回避とは違うものを見ているようです。
数千年も争いの耐えない欧州、ヒトラーが欧州全体を蹂躙した自国の歴史。
ユーゴやチェコスロバキアなど、常に分裂してきた欧州大陸の性(さが)。
異なる価値観を内包してしまえば内部の対立が激化し、結局は全てが崩壊するというのがドイツの歴史観なのかもしれません。
共有できなければ君臨するしかない。
ドイツは退廃したカトリック教会に対抗し、プロテスタントを生んだ国。
堕落には不寛容です。
ドイツ人は、大黒柱とシロアリが一緒に生活すれば屋根が落ちてシロアリも死ぬ、と考えているはずです。
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