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March 21, 2012

重慶事変の闇は深い

前編はこちらです→「重慶を舞台に血みどろの権力抗争か」。

Images腹心「王立軍」の寝返りをコントロールしきれなかった薄煕来(はくきらい)。
今月15日に重慶市書記を解任され、党中央は後任に現職の副首相「張徳江」を送って幕引きを図っています。

張徳江は薄煕来と同じ江沢民派。

胡錦濤率いる叩き上げリベラルの共青団VS保守派の太子党-江沢民連合という対立構図で見ると、人事上で微妙なバランスを維持しながらも、温家宝が激しく文革を批判する会見を行い、保守派を強く牽制するという事態になっています。

ところが、その温家宝首相の会見内容を党中央宣伝部が報道規制したとの海外報道もあり、全くもって神経戦の様相です。

そもそも薄煕来は重慶の一般大衆に一定の人気がありました。

重慶マフィアを一掃するという口実で、政敵や企業経営者も刑務所送りにして権力を掌握。
それが終わると、今度は唱紅歌(中国共産党革命万歳を歌うこと)ブームを旗振り。
公営住宅の建設や農村部住民への健康保険拡充などポピュリズム政策を推進。

学生やインテリはこうした人気取りを毛嫌いしていたものの、貧富の差が拡大する中国において「金持ち叩き」やポピュリズム政策は効果があり、「昔は貧乏で平等だった」とのノスタルジーを鼓舞する唱紅歌大合唱は「党公認」の集団レクリエーションでした。

今回は、米国領事館も絡んだ異常事態のため、保守派も薄煕来を切り捨てて一歩譲った格好になっていますが、当然秋までには反撃を狙っています。

中国共産党には、自ら特権集団による格差を作り出し、国民の不満をマオ(毛沢東)イズムへの共感として集約し、権力闘争へ利用している者たちがいます。

中国における保守である左派は、同時に愛国的右翼でもあるので、わかりやすさが求められる時には一気に勢力を増す可能性があります。
第二の文革の芽はそこら中で育っているからこそ、温家宝は苛立つのです。

王立軍の裏切りの経緯は断片情報を繋ぎ合わせると、こうです。

秋の党大会に向けて薄煕来の常務委員入りを阻止したい一派。
党中央規律検査委員会を使い、王立軍の身辺を洗います。
気が付いた王は薄煕来に助けを求めますが逆に切られそうになったため、薄煕来の家族の捜査を匂わせて対立が決定的になり、機密を土産に米国領事館へ。しかし、中国を刺激することを避けたアメリカは亡命要請を受け付けず...。

叩けば埃の出ない者はいない中国共産党幹部。
底辺にいれば踏みつけられ、上に行けば寝首を掻かれる。
どこにも安らぎのない国です。

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