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March 25, 2012

日露戦争、資金調達の戦い

Efbc91e698afe6b885「日露戦争、資金調達の戦い: 高橋是清と欧米バンカーたち 」は、日露戦争をファイナンスの切り口から整理してみました、という本です。

金本位制の元で資金に乏しい日本は、高橋是清らをロンドンへ送り、計6回の日本公債を発行。
戦いが長引くたびに借金を重ねる、正に自転車操業状態。

当時の日本公債は、今で言えば格付けBクラス以下のハイイールド新興国債券。

是清のロンドンでの奮闘にも関わらず、日本国内では深刻な資金不足の実態が知らされず、やれ発行条件が悪い、タイミングが下手糞などと新聞は言いたい放題。

・真実を告げない政府
・煽る新聞と煽られる大衆
・冷静な市場と一部の参加者

こうした組み合わせによって物事が決まっていくという構図は、現在と変わりません。

幸いなことに、この頃の日本のリーダーたちは、まだ奢らず、国際的な視野を失っていませんでした。
特に、高橋是清の人生は、何度触れても波乱万丈です。

本書には、ロンドンでの資金調達(債券発行)の手続き等が詳細に記されていますが、目論見書の作成、発行条件を巡る引き受けシ団と発行者サイドの駆け引き、セカンダリー市場での値動きなど、基本は今と一緒です。

100年以上も前に、国際金融の枠組みがしっかりと出来上がって機能していた事実は、あらためて勉強になると同時に、いまだに立ち遅れている日本の金融業界が気になります。

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