ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録
「ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録」は、昨年秋の発売ですが、西川氏には「ワンマン」「強引」「毒舌」などのイメージがあり、その調子で自己弁護する本だったら叶わんと思って引いていました。
電子書籍で見つけたのを機に、実際に読んでみると、ところどころ鼻に付く表現はあるものの、その点を割り引いても十分に興味深く、波乱の人生を楽しめました。
住友銀行は、まず安宅産業で躓き、そこから這い上がる過程であの磯田一郎が生まれ、それがまたイトマン事件を招き、安宅とイトマンの収拾に西川が関わったという浮き沈みの歴史を持っています。
二つの大きな負の遺産を処理するためには、関係者の保身対応に惑わされず真っ直ぐに突き進む必要があり、その経験が西川氏の短気で忌憚のない物言いのスタイルを作ったように思われます。
西川氏は、自分を引き立ててくれた磯田一郎の晩年や古い体質の経団連、かんぽの宿売却で言いがかりを付けてきたルーピー弟、それに迎合したマスコミなどを痛烈に批判しています。
合理的判断はサイレントマジョリティとして埋没し、細部の情緒性がメディアで拡声されるというこの国の特徴が、西川氏の周囲でも顕著に起こっていたのでしょう。
良し悪しはともかく、西川氏は愛すべき直線の人であり、案外旨い酒が一緒に飲める人ではないかと感じました。
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